お葬式の種類と流れ

お葬式の種類と流れ

お葬式の種類

意外に豊富な「お別れのかたち」

ドイツが生んだ理論物理学の天才アインシュタインは、プリンストンの病院で息を引き取った後、荼毘にふされ、遺骨は近くを流れる美しい河に散骨されました。これはアインシュタイン本人の強い希望だったといいます。

またロックの王様エルビス・プレスリーの遺体はテネシー州メンフィスの自宅に安置され、訪れたファンのうち3万人が邸内に入り、純白のスーツに身を包んだプレスリーと最後のお別れをしました。

お葬式といっても、スタイルはさまざまです。とくに現代では旅立たれた方の個性や思いを形にしたいと望まれるケースが多く、そのお気持ちに応えるように、多様なスタイルの葬儀が用意されています。

よく知られる「一般葬」「社葬」のほか、これらふたつを一緒に行う「合同葬」。ご家族を中心に行う「家族葬」や「密葬」。お通夜を行わない「一日葬」。シンプルに火葬場で荼毘にふす「直葬」。宗教ごとのしきたりに沿った「宗教葬」。死生観によっては「自然葬」「散骨」「樹木葬」を望まれる方もありますし、近年では「生前葬」を行う方も増えています。

最良のお葬式を選ぶには、まず種類を知ること

旅立たれた方のお気持ち、ご遺族の意向、お立場などの事情、ご予算などの条件――。葬儀のスタイルを決定するにはいろいろな要素が関わってきますが、その中で最良のお葬式を実現するため、まずは種類について知っておきましょう。

それぞれ詳しくご紹介するページを設けていますが、ここではお葬式の種類について簡単にまとめご案内します。

一般葬 喪家が施主となる従来のお葬式で、ご遺族・ご親族以外の親しい方や職場関係者にも会葬してもらうスタイル
社葬 法人(企業)が施主となって営まれる葬儀。会社の創業者やオーナー、経営者をはじめ、特別な貢献があった役員・社員が亡くなった場合や、業務中に殉職した社員のために行われる
合同葬 故人の喪家としての葬儀(一般葬)と、法人としての葬儀(社葬)を合同で執り行う葬儀
家族葬 もともとはご遺族のみで行う葬儀のこと。現在では、ご親戚やごく親しい方などを会葬者に含めた、小規模・少人数で営む葬儀を指す
密葬 広く告知することなく、ご遺族・ご親族を中心にごく親しい方だけが内々で密やかに行う葬儀。大規模な本葬の前に行うケースもあるが、必ずしも本葬と密葬がセットになっているわけではない
一日葬 通夜法要(通夜式)を行わず、1日で火葬まですませる葬儀
直葬 通夜・葬儀・告別式を行わず、ご遺体を直接火葬場へ運び、火葬・拾骨する葬送法。宗教者を呼び、火葬炉の前でシンプルなお別れの儀式をすることもあり、その場合は「炉前式」や「火葬式」と呼ばれる
宗教葬 仏式、神式、キリスト教式、そのほか故人の信仰により、宗教の厳密な儀礼、手順、作法に従って執り行われるお葬式
自然葬 遺骨をお墓に納めず、海や山など自然の中で散骨したり、霊園・墓地で樹木を墓標に納骨したりする葬送法のこと
散骨 遺骨を海や山に撒く葬送法。法務省の見解として、節度を持って行われる限りにおいて葬送のひとつと認められるようになった
樹木葬 自然葬のひとつで、霊園や寺院が運営する墓地において、樹木を墓標にし、土中に遺骨を埋蔵するもの
生前葬 本人が生きているうちに行う葬儀。宗教的なお葬式を行うケース、お別れの会を催すケースなどさまざま自由なスタイルで行われる

お葬式が遺された方にもたらすたくさんの効能

お葬式は亡くなった方の人生を締めくくるセレモニーであり、遺された方々が故人に別れを告げ、思いを捧げる大切な機会です。宗教によっても多様な意味を持ちます。

仏教では、葬儀は亡くなった方の冥福を祈り、極楽浄土へと送る儀式です。神道においては、故人の御霊を家の守護神とするための儀式となります。キリスト教ではすべての罪を赦され永遠の安息を祝う召天の儀式です。

どのような宗教、あるいは価値観のもとでも、故人の幸せを祈り、別れを偲ぶ点は同じです。中には「そのようなことは葬儀をしなくてもできる」「心の中で弔うことができる」「葬儀は不要だ」と考える方があるかもしれません。しかし、お葬式を執り行うことには思いがけない効能があります。

お葬式は遺族の哀しみを癒し、支えをもたらす機会にもなる

大切な人との別れは、人生最大の試練のひとつです。苦しみを乗り越えるには、まずその事実を正面から受け止めることが必要です。わたしたちは愛する人の死に直面すると、大きなショックを受け、その事実を認めたくないという心理が働きます。これは一般的なことなのですが、そのままではなかなか前に進むことはできません。深い悲しみから癒されるための第一歩は、別れの事実を受け入れること。そしてお葬式はそのため大いに役立ちます。

もうひとつの効能は、お葬式を行うとご遺族が「故人が喜ぶことをしてあげられた」という気持ちを持てることです。ほんのささやかな満足感に思えるかもしれませんが、これも心の癒しにつながる重要なファクターになります。大切な人を亡くすと、「あれもしてあげたかった」「これもしてあげたかった」という思いが生じますが、お葬式のときに故人の喜ぶことをかなえてあげるだけでも、そのような心残りに苦しむことが少なくなります。

また、お葬式で故人やご遺族とつながりを持つ人々と実際に会うことによって、ご遺族は「自分は孤独ではない」と実感することができます。実際に会葬者から思いやり深い言葉をかけてもらったり、その後も気にかけてもらったり、温かい支えを得る機会にもなります。

「家族が大変だろうから、自分の葬式はしなくてよい」と考えている方は、ご家族のためにお葬式を行うことを考えてみてはいかがでしょう。ここでご案内したように、お葬式にはたくさんのスタイルがありますので、ご自身の生き方、信条、センスに合ったお葬式がきっと見つかることでしょう。あらかじめ準備しておくことが、遺してゆくご家族の癒しにつながるかもしれません。

一般葬

一般葬とは、喪家が施主となり人々に広く参列してもらうお葬式

お葬式の種類には、施主による分類や規模による分類などいくつかありますが、中でも現在、日本でもっとも広く行われているお葬式の形式は「一般葬」です。一般葬は、故人のご家族が施主となり、ご親族、ご友人、お仕事の関係者などたくさんの方々に参列してもらうお葬式のことをいいます。

また、そのうち特に「通夜」「葬儀式」「告別式」が執り行われる仏式のお葬式を指して一般葬という場合もあります。実際に仏教にもとづいたお葬式スタイルはもっとも多くみられます。近年では、「葬儀式」と「告別式」をまとめた形で行われるケースが多いようですが、もともとこのふたつは別のものですので、それぞれの意味を簡単にご紹介しながら一般葬の特徴をみていきましょう。

本来「葬儀」と「告別式」は別のもの

「葬儀式」とは、ご遺族やごく親しい友人知人が中心となって故人の冥福を祈り、魂を浄土に送る宗教的な儀式です。僧侶が読経を行い、見送る人々が焼香を行うなど、宗教儀礼に従って執り行われます。

その一方「告別式」は、宗教的な意味合いではなく、社会的な意味合いを持つ式典です。ご遺族や友人知人、仕事の関係者などが故人と最後のお別れをするために設けられる場です。「告別式」はもともと、「葬儀式」を終えた後に会葬者全員で行われる儀式でした。しかし近年では「葬儀・告別式」として一緒に行うケースのほうが一般的です。

また近年の一般葬でもうひとつ特徴的なのは、「葬儀・告別式」でなく「通夜」に会葬する方が増えたことです。そもそも通夜は故人とごく近しい関係の方々がお別れをするもので、それ以外の方は弔問を遠慮することが普通でした。しかし今では多忙な方が多く、昼間の葬儀への参列はなかなか難しいという現状があります。そのため、夜に行われるお通夜に会葬することが「失礼な事」ではなくなっています。

一般葬の手順

一般葬の手順 その1 『通夜』

通夜 納棺 → ご遺族・参列者の着席 → 読経 → 焼香 → 挨拶 → 通夜振る舞い

お通夜は正式な儀式ではありませんが、故人を葬る前に近親者で別れを惜しみ、また冥福を祈るためのもので、肉親の方々は夜通しロウソクと線香に火を灯し遺体をお守りします。現在では弔問客のために夜の6時か7時頃から1時間程度にわたって「半通夜」が営まれることが一般的です。流れを簡単にご紹介します。

お通夜では開始前に、祭壇に近いところから喪主、ご遺族、参列者が着席し、僧侶を迎えます。僧侶による読経が30~40分にわたって行われ、弔問客が多いときなどはこの読経の間にお焼香をすることもあります。通常は読経が終わったところで、まず僧侶がお焼香をし、喪主、近親者、一般弔問客の順に続きます。

終了したら、喪主かご親族がご挨拶をし、通夜振る舞いのご案内をします。通夜振る舞いは、弔問客をお食事やお酒でおもてなしすることです。決まった式次第などはないので、弔問客は自由に過ごし順次、帰ります。

この後、夜を通して近親者が交代で遺体をお守りします。このとき祭壇のロウソクと線香を絶やさないよう気をつけます。多くの場合、翌日に葬儀が営まれます。

一般葬の手順 その2 『葬儀・告別式』

葬儀・告別式 ご遺族・参列者の着席 → 開式の辞 → 僧侶入場→ 読経 → 弔辞・弔電の奉読 → 読経・焼香 → 僧侶退場 → 閉式の辞 → お別れの儀(お花入れ) → 喪主の挨拶 → 出棺

「葬儀式」「告別式」の式次第は、宗派、規模などによって多少の違いがみられます。ここでは、近年最も多く行われるパターンとして両方を一緒に行う場合のサンプルケースをご紹介します。

「葬儀・告別式」は、司会による開式の辞で始まります。すぐに僧侶が入場し、故人のための読経が行われます。読経は故人の冥福を祈り、浄土に往生することを祈るもので、30分~1時間ほど続きます。禅宗などでは、読経に引き続き、死者を悟りの世界に導く引導を渡します。

読経がすむと、弔辞と弔電の奉読が行われます。その後、僧侶が焼香をし、読経が始まります。この読経の間に、喪主から順に、ご遺族、ご親戚、参列者がお焼香をします。すべての参列者がお焼香を終えたら読経を終了し、僧侶が退場します。ここで司会が閉式の辞を述べて告別式は終わります。

続いて「お別れの儀」を行うため、棺が移動され、ふたが開けられます。最後の対面に際して、祭壇に供えられていたお花をご遺族や参列者の手で棺の中に入れ飾ります。故人の愛用品なども一緒に納めます。お別れがすんだら棺のふたが閉められますが、このとき近親者によって「釘打ち」を行うこともあります。棺の釘の部分にひとり2回ずつ石を打ちつけます。これは死者が無事に冥途にたどり着けるよう祈る儀式です。

棺のふたが閉ざされたら、ご親族やご友人の男性の手で、棺を霊柩車に運び納めます。喪主は位牌を持ち、次の方は遺影を持ち、棺に従います。棺を納めたら喪主はご挨拶をし、車に乗って出棺となります。

 一般葬の手順 その3 『火葬』

火葬~精進落とし 火葬許可証の提出 → 納めの儀式 → 火葬 → 骨あげ → 埋葬許可証の受取り →(初七日法要・精進落とし)

火葬場へはご遺族とご親族、ごく親しい方が同行します。かつては親が子を弔うときや夫が妻を弔うときは「逆縁」といい、火葬場へついていかない習慣がありましたが、現在ではそのようなことはめったにみられません。

火葬場に到着したら、受け付けで「火葬許可証」を提出します。次いで係員の指示にしたがって棺を霊柩車から下ろし、かまどの前に運びます。かまどの前には小机に供花、香炉などが用意されていますのでそこに位牌と遺影を据え、「納めの儀式」をします。

「納めの儀式」では、僧侶の読経、お焼香、合掌、礼拝を行います。ただし読経は省略されるケースのほうが多いようです。一同の合掌のうちに棺はかまどに入り、火葬されます。火葬が終了するまでは控えの間で待ち、終了したら「骨あげ」を行います。

「骨あげ」では、竹の箸を用い、ふたりでひとつの骨を挟み上げ骨壺に納めます。1~2片を納めたら次の方に箸を渡します。係員の説明に従い、足の骨から順に上半身、頭部の骨を拾います。「のど仏」だけは最後に、最も故人と近しい二名が拾い納めます。骨壺は白木の箱と白い布で包まれ手渡されますので抱え持ち、埋葬許可証を受け取り帰ります。遺骨は「あと飾り」の祭壇に安置します。

近年では、葬儀の後7日目に行う「初七日法要」を、火葬場から戻ってすぐに行うケースが多くみられるようになりました。これを「繰り上げ初七日法要」といいます。その場合、法要の後に「精進落としの振る舞い」を行います。これはご遺族が僧侶や世話役を労うためにお料理やお酒でもてなすもので、彼らを上座にしてご遺族は末席に着きます。宴ではご遺族が一人ひとりにお酌などをしながらお礼を述べて回り、頃合いを見て喪主が挨拶に立ち、お開きとします。

社葬

社葬とは、故人が関わる企業が主催するお葬式

お葬式にはさまざまなスタイルがありますが、「誰が主催するか?」という視点で分類したとき、大まかに「個人葬」「社葬」「団体葬」「合同葬」の4つに分けることができます。

亡くなった方のご遺族が執り行う一般的な葬儀は「個人葬」、それに対して亡くなった方が関わっている会社が主催する葬儀を「社葬」といいます。この場合、一切の費用は会社が負担します。「社葬」 は会社の創業者や会長、社長、役員をはじめ、特別な貢献があった社員が亡くなった場合や、業務中に殉職した社員のために行われます。

また、葬儀は企業以外の団体が施主となって行われることがありますが、これらを総称して「団体葬」といいます。さらに、遺族による「個人葬」と「社葬もしくは団体葬」を合同で執り行うものを「合同葬」と呼びます。

個人葬 喪家が施主となる一般的な葬儀
社葬 法人(企業)が施主となって営まれる葬儀
団体葬 法人(企業)以外の団体が施主となって営まれる葬儀
合同葬 「個人葬」+「社葬」、もしくは「個人葬」+「団体葬」

社葬の特徴

社葬は法人が主体となり執り行う葬儀ですから、一般的に会葬者の人数は個人葬よりも多くなることが見込まれ、したがって大きな規模で開かれます。またビジネス上の重要な関係者の方々に会葬していただくので、葬儀のお知らせについても式次第についても、失礼がないよう細心の配慮をする必要があります。

そのため、社葬にはある程度の準備日数が必要です。そこで亡くなった直後にはご家族や近親者だけで密葬として「個人葬」を行い、1か月ほど後に本葬として「社葬」を行うケースが多くみられます。

また葬儀において「喪主」は祭祀の主催者、「施主」は費用を出す方のことをいいますが、一般の「個人葬」では「喪主」と「施主」は同じです。しかし社葬の場合、「喪主」は遺族の代表者が務め、「施主」は会社となります。

社葬の目的

社葬のもっとも大きな特徴は、亡き人を哀悼する儀式であるだけでなく、社会的な行事である点です。社葬が行われる方は会社の重要人物ですから、その死は、社内はもとより関連企業や取引先など、ビジネス上の関係者たちに少なからぬ影響をもたらします。そのため社葬は会社にとってさまざまな役割を担います。

ひとつは、故人が企業にもたらした功績や、存在の大きさを社内外に表現することです。葬儀は、故人への感謝や畏敬の念を新たにするとともに、会葬者がそれぞれの人生や仕事に向かう姿勢を引き締めることにもつながります。また大きな存在を喪ったということは、その方なしで新たな会社として歩んでいかなくてはならないことを意味しますが、その際に必要な団結心も、社葬を通じて高まります。

また場合によっては社外に対して、後継者のお披露目や、今後の会社の在り方、新体制の告知という意味合いも生じます。参集した仕事関連の会葬者に、重要な存在を喪ったけれども今後の体制も盤石であると知らしめることは、企業として大変に重要なことです。

こうした目的から、社葬は葬儀の一般的なルールやマナーだけでなく、ビジネス上のルールやマナーも考慮され式が進められます。大きな会社の場合は社葬委員会が設けられ、関係各所への連絡、新聞の訃報広告の出稿、来賓や弔辞者の設定と依頼をし、社葬当日にはリハーサルが行われることもあります。終了後には新聞社に会葬御礼の掲載依頼をし、社葬の動画・画像・文書記録をまとめます。

社葬の費用 ~社葬にかかる費用の内訳、費用総額について~

社葬は、葬儀式の規模、企業の規模、開催する場所、内容によってかかる費用が大きく異なります。たとえば参列者500名の社葬を1,000万円前後で行うケースもあれば、同じ内容でも参列者が2,000人程度になると総額3,000万円を超えることも珍しくありません。また参列者500名の社葬でも、開催場所や内容によって、費用は500万円~2,000万円と幅があります。

いくつか具体的なケースをご案内しましょう。

規模 会場 総費用
500名 東京・築地本願寺 500万円
1,000名 東京・青山葬儀所 1,500万円
1,000名 東京・青山葬儀所 3,300万円
1,200名 東京・帝国ホテル 3,100万円
1,600名 大阪・リーガロイヤルホテル 3,500万円

上記では大規模な社葬を取り上げましたが、このとおり規模が違えば費用は異なり、また規模や会場が同じでも内容によって金額が異なります。では、社葬にかかる費用の内訳をみていきましょう。

<通知・広告の費用>

  • *訃報通知の新聞広告費
  • *案内状の作成・発送費用

<葬儀一式の費用>

  • *祭壇やメモリアルコーナーなどの装飾の設営、特別な演出にかかる物的、人的費用
  • *式を進行する司会やその他の会場スタッフ、車両誘導、警備などの人的費用
  • *会場内外の設備費用(看板・テント・音響・照明・ストーブ・冷風機など)
  • *葬儀会館、ホール、ホテル、寺院など会場の使用料

<接遇費用>

  • *ご来賓、弔辞ご担当の方、ご親族などに振る舞う飲食費用
  • *会葬者への会葬御礼品の費用
  • *ご来賓、弔辞ご担当の方、寺院関係者、葬儀委員長などの送迎ハイヤー、バス車両費
  • *会場受付ほかお手伝いの社員への慰労会費、飲食費用

<その他>

  • *宗教儀礼を行うときには、お布施など宗教者へのお礼
  • *記録のための写真・ビデオ撮影料

社葬はビジネス上の行事であるという意味からいえば、費用に関して「無駄のないよう抑えたい」「費用対効果を厳しく判断して決めたい」という考え方もありますが、吝嗇であるというイメージや窮迫しているという印象を会葬者に与えてしまうと、会社のステータスやブランディングを損ねることにもなりかねません。その点も注意しながら予算を組むことが必要です。

社葬のお香典

近年は、社葬を行う際には会葬者からのお香典を辞退することが一般的になっています。というのも社葬は企業活動なので、経理上、税制上の煩雑な取り扱いが生じるためです。

社葬の経費は福利厚生費として計上し、損金処理をすることができます。しかし企業が受け取ったお香典は「雑収入」に計上しなければならず、課税対象となります。また企業が受けたお香典をご遺族にお渡しすると、ご遺族に贈与税がかかります。

そのため現在では、お香典は亡くなった直後に行われる密葬や家族葬でご遺族が受取り、社葬ではお香典を辞退するケースがほとんどです。社葬のご案内状や会場に「勝手ながら香典の儀はご辞退申し上げます」などと記されているのを目にした方も多いでしょう。

ただしお香典の辞退は「お受けする側の都合」ですので、辞退のご案内をしても社葬に香典を持ってみえる参列者もあります。そのような場合、受け付けが預かり、ご遺族にお渡しすることが一般的です。お香典返しはご遺族の名で、ご遺族の費用負担で行います。参列者のマナーとしては、このようなことでご遺族の手をわずらわせないよう、辞退の案内があったときにはお香典を持参しないようにします。

そのような場合、代わりに供花をお贈りするのもひとつの方法です。ただし宗教や会場によってはご迷惑になる場合や飾れない場合もありますので、あらかじめ葬儀委員、担当の葬儀社などに相談してから手配をします。祭壇に供える供花、祭壇の左右や会場入り口に飾る供花スタンド、また地域によっては花輪を会場周辺に飾る場合もあります。社葬や合同葬で贈られる供花の値段は単品で20,000~30,000円、供花スタンドを2基、4基など対で複数贈る場合は40,000~80,000円が現在の相場となっています。

また、とくにお香典を辞退するご案内がなかった場合、一般的に1~3万円程度を包みます。社長名で包む場合はおつき合いの深さにより3~10万円、社長名で供花とお香典の両方をお贈りする場合は合計で5~12万円程度が相場です。

合同葬

合同葬とは、企業と遺族が共催するお葬式

合同葬は、企業と遺族が合同で主催する葬儀のことです。企業でなく何らかの団体が遺族と共催する場合もあります。つまり「社葬もしくは団体葬」と「個人葬」を共催で行うものが合同葬です。

通常の社葬は企業の創業者、会長、社長、特別な貢献があった役員や社員、職務中に亡くなった社員のために行われますが、その際には亡くなった直後にまず遺族による「密葬」を行い、時間をおいて「社葬」を開催するのが一般的です。合同葬はこのふたつを一度に、亡くなった直後に行います。

また合同葬においては、社葬と同じように「葬儀委員長」を立て、喪家との連絡、相談などを密接に行いながら計画・実施します。

合同葬のメリットとデメリット

合同葬は社葬の一形態という捉え方が一般的ですが、通常の社葬に比べて費用を抑えることができる点がメリットです。そのため中小企業で社葬を希望する場合に、遺族と共催の合同葬を選択するケースが増えています。企業側も遺族側も準備の負担が軽減しますし、混乱しがちな二度の葬儀をまとめることで実施の不手際を防ぐことにもつながります。

デメリットとしては、準備日数が短い点が挙げられるでしょう。合同葬は「社葬」や会社主催の「お別れの会」とは異なり、葬儀は遺体を安置して執り行い、荼毘にふされるまでが式に含まれます。そのため亡くなってから数日のうちに葬儀のすべてを決定し進めていく必要があります。

しかも合同葬は、ご遺族が故人の冥福を祈りお別れをする場であるだけでなく、企業の重要な式典としての社会的な意義があります。関連企業に対して、故人と自社がともにもたらした功績を伝え、会葬者に感謝を申し述べ、今後の変わらぬ関係の継続をお願いするという重要な役割を担っているのです。この目的を、ビジネス上のルールやマナーに基づいてしっかり果たさなくてはなりません。短期間で実行するには慌ただしい準備作業が必要になることは確かです。

合同葬の費用分担

合同葬の場合、葬儀費用は企業とご遺族の双方が負担します。分担割合は相談の上で決定しますが、その際にはさまざまな要素が勘案されます。

たとえば故人が殉職であれば、企業負担は増えます。また故人の企業への貢献度が高ければ、やはり企業負担は増えます。単純に企業の規模が大きく、社葬としての色合いが濃い葬儀の場合も、企業負担は大きくなります。

また費用の分担については、単純に総額の何割を企業が支払い、何割を遺族が支払う、という具合に分けるのではなく、税務上の都合も関係します。たとえば斎場費用と葬儀に関するほとんどの費用は税制上、企業の損金として認められますが、認められないお布施、仏壇、位牌、香典返しなどの費用は遺族が支払うのが基本です。

合同葬の費用の総額は、社葬と同様にケースバイケースです。葬儀の規模、企業の規模、葬儀の内容、開催する場所によって大きく異なるため、たとえば500人規模でも500~2,000万円と相場に大きな幅があります。

合同葬の流れ

合同葬は企業と遺族の共催ですが、やはりご遺族の意向をしっかり確認しながら葬儀の方針、内容を決めていきます。そのため、企業としては無宗教で実施したいと希望する場合でも、ご遺族のお考えを尊重し、信心する宗教・宗派の形式で行うケースが多くみられます。

ここではもっともよく行われる仏式の合同葬について、通夜、葬儀・告別式の流れをご案内します。

<通夜>
① 親族・来賓・参列者の入場
② 遺族の入場
③ 導師・式衆の入場
④ 通夜開始の宣言
⑤ 読経
⑥ 焼香(喪主→遺族→親族→一般参列者)~退場~お斎
⑦ 導師・式衆の退場
⑧ 通夜終了~遺族・親族・係員のお斎

 

<葬儀・告別式>
① 親族・来賓・参列者の入場
② 葬儀委員長・遺族の入場
③ 導師・式衆の入場
④ 葬儀・告別式、開始の宣言
⑤ 読経
⑥ 弔辞、弔電
⑦ 葬儀委員長の挨拶
⑧ 読経
⑨ 焼香(葬儀委員長→喪主→遺族→来賓→親族→参列者→葬儀委員→係員)
⑩ 導師・式衆の退場
⑪ 葬儀・告別式、閉式の宣言
⑫ お別れの儀
⑬ 遺族代表の挨拶
⑭ 出棺
⑮ 荼毘
⑯ 収骨
⑰ 繰上げの初七日法要
⑱ 献杯と法要膳の会食~解散

家族葬

家族葬とは、ご遺族を中心に少人数で営むお葬式

家族葬は、本来はご遺族のみで行う葬儀のことをいいましたが、現在ではご親戚やごく親しい方にも会葬していただく、小規模・少人数で営む葬儀のことを指します。人数は数名から30名程度が一般的です。

通常、お葬式には故人と直接のおつき合いがなくても、ご遺族のご友人・知人がたくさん会葬します。大切な方を亡くしたご遺族を支え、心をお慰めする機会にもなるのでとても意義あることなのですが、中には「自分の葬儀には知らない人にきてほしくない」「自分の葬儀のために、たくさんの方にお手間をかけさせては申し訳ない」と考え、生前に家族葬を希望される方もあります。

またご遺族の中にも、心痛の折に多くの会葬者をお迎えすることを負担に感じたり、身内だけでしっかりお別れをしたいと望まれる方があり、そのような場合に家族葬を選ぶケースがみられます。ほかに核家族化の影響などもあり、現在首都圏で行われる葬儀の60%は家族葬だというデータもあります。

近年では、ご自身の葬儀として家族葬を望まれ、生前に葬儀社などに事前相談をされる方が増えています。費用や葬儀の内容を思いどおりに実現できるだけでなく、ご家族の負担を大きく軽減し、またご自身の人生を新たに見つめ直すよい機会にもなるという点が事前相談の増加の理由となっています。

家族葬で起こりやすいトラブル

故人をよく知る方々だけが集まる家族葬は、ご遺族がさまざまなことに気を遣う必要なく、ゆっくりと故人とお別れすることができるという大きなメリットがあります。しかし同時に、生じやすい特有の問題もあります。

お葬式をどのように行うかについては、故人とご遺族の意向がいちばん尊重されるべきです。ただ故人が生前に築いていた人間関係への配慮が必要になるのも事実です。故人と親しかったご友人、知人、お世話になった仕事関係の方々にとっても、故人は大切な人であり、亡くなったとなれば最後にひと目お会いしたい、お別れをしたいと望まれる方も少なくないでしょう。そういった方々への丁寧なお知らせとお礼を怠ると、感情的なしこりを残しかねません。

またご親戚に関しても、お知らせをする範囲は慎重に決めなくてはなりません。後々、「親しく親戚づきあいをしていたのに呼んでもらえなかった」「本家なのに案内がなかった」など不満を持たれる方もいらっしゃるからです。やり直しのきかない葬儀で周囲の方々に角を立ててしまうのは大変残念なことですので、家族葬を行うときには、以下の点に留意するとよいでしょう。

  • ◇会葬者の決定はくれぐれも慎重に行います。
  • ◇会葬者だけでなく、ほかのご親戚、ご友人などに対しても失礼のないようお知らせをし、弔問・供花・香典などを辞退する場合はその旨をお伝えします。
  • ◇家族葬にする理由を「故人のたっての希望」など明確にお伝えし、理解を求めます。
  • ◇葬儀を終えた後に、ご報告や生前のご厚誼へのお礼を丁寧にお伝えします。
  • ◇葬儀を終えた後に、ご自宅に弔問客が訪れることがあるので心得ておきます。

家族葬の費用の相場

家族葬は規模が小さいため、費用を比較的、低額で実施することも可能です。しかし「規模は小さくても、故人が喜ぶユニークな葬儀にしてあげたい」「故人が好きだった花で埋めつくした豪華な祭壇を作ってあげたい」などそれぞれのご希望に合わせ、大きな予算で行うケースもめずらしくありません。

そのため費用の相場には幅がありますが、以下に実際に行われた家族葬からいくつかサンプルをご紹介します。いずれも仏式で通夜と葬儀が行われ、費用にはお布施を除くすべてが含まれています。

規模 会場 費用
14名 公営斎場 410,000円
18名 ご自宅 1,250,000円
18名 寺院 550,000円
20名 民営斎場 920,000円
23名 民営斎場 460,000円
30名 ご自宅 1,600,000円

費用の違いは人数や会場、とりわけ葬儀の内容によって異なり、低額のものでは30万円台のケース、高額のものでは30人規模の家族葬でも300万円、400万円を超えるケースもみられます。豪華な生花祭壇を作ればそれだけ費用がかかりますし、記録のためのビデオ撮影やアルバム作りを依頼すればその費用も加算されます。

また最近では演奏家を呼び弦楽やピアノの生演奏を行うなど、特別な演出や個性的な内容の葬儀を望まれる方が多く、費用の幅広がっている実態があります。家族葬はご遺族と近親者だけの葬儀ですので、遠慮することなく自由な葬儀を実現される方が増えているためです。

家族葬への弔問、お香典

ここでは家族葬への参列やその際に持参するお香典についてご紹介します。ご遺族や関係者の方から訃報があったとき、「葬儀は家族葬で行います」「家族のみで見送ります」などの説明があった場合、参列は控えるのがマナーです。

「お世話になったから葬儀のお手伝いをしたい」「せめてひと言だけでもお悔やみを申し上げてお香典をお渡ししたい」などと考える方もありますが、ご家族だけで送りたいというご遺族の意向を尊重することがもっとも大切です。

故人と親しくされたりお世話になったりした場合は、葬儀から日を置いてご遺族にご連絡をとり、ご自宅に弔問にうかがいたい旨、ご相談されるのがよいでしょう。この場合もご遺族のご負担にならないよう、状況によっては遠慮します。

家族葬への参列のご案内があった場合や、後にご自宅に弔問にうかがう際にはお香典を持参します。金額の相場は、あなたとの関係によって変わります。

勤務先の上司・同僚・部下が亡くなった場合、あなた自身がまだ20代など若い場合は5,000円、30代を越えた年齢ならば10,000円が相場です。40~50代以上では、立場や故人とのおつき合いの深さによって金額を上げることもあります。また、上司・同僚・部下のご家族が亡くなったケースではそれより少し金額が下がり、3,000~10,000円が相場です。

同様に、友人知人へのお香典は5,000~10,000円、ご近所へのお香典は3,000~10,000円が一般的とされています。

密葬

密葬とは、広く告知せず内輪で行う小規模のお葬式

「密葬」は、訃報と葬儀案内を広くお知らせすることなく、内輪で行う小規模の葬儀のことを言います。一般に「ご遺族だけで行うもの」というイメージが強いようですが、必ずしもそうとは限らず、ご遺族、ご親族、そしてごく親しい方々で執り行われます。

また「密葬」と「本葬」がセットになったスタイルと、「密葬」のみを行うスタイルの両方があります。それぞれ簡単にご紹介しましょう。

1.「密葬」と「本葬」をセットで行うケース

たとえば故人が著名人の場合や、企業経営者などで社葬が開催される場合、まず亡くなった直後にご遺族を中心とした内輪の葬儀を行い、後日、一般会葬者を招いた大規模な葬儀を行うことがあります。こうした形式の葬儀で最初に実施されるご遺族中心の葬儀を「密葬」、その後の葬儀を「本葬」と呼んでいます。また本葬の代わりに「お別れの会」が実施されるケースもあります。

2.「密葬」のみを行うケース

「本葬」なしで「密葬」のみを行う葬儀スタイルもあり、こちらは「家族葬」とも呼ばれます。ご遺族とご親戚を中心に、ごく親しい方が会葬する場合もあります。そもそも「家族葬」は、「密葬」を親しみやすい名称に呼び変えたもので、現在では核家族化や高齢化が進んだ影響もあり、大幅に増加している葬儀スタイルとなっています。

密葬の目的

著名人や、社葬・団体葬が行われるような社会的立場の方が亡くなった場合、葬儀には多くの会葬者が見込まれ、当然、葬儀の準備にも相応の日数がかかります。逝去から数日あるいは1週間程度で準備を整えることは難しく、そのため大規模な葬儀の前に火葬までを含めたひととおりの葬儀を行う必要が生じます。

またこういった大規模な葬儀は「社会的行事」の意味合いが強くなりますので、ご遺族が心置きなく故人とのお別れをすることが難しいという一面もあります。そういった理由からも、密葬が求められます。

一方、単独の密葬を希望する方々も年々、増加傾向にあります。最近では終活の一環としてご自身の葬儀の準備を生前に整える方が多くなっていますが、その際「残していく家族にできるだけ負担がかからないようにしたい」「本当に親しい人々だけに見送ってもらいたい」などと考え、密葬を希望されるケースが目立ちます。

またご遺族の側も、たくさんの会葬者に気を遣うことなく、ゆっくり故人とお別れすることができるというメリットから、密葬を選ぶ方が多くみられます。

ただし単独の密葬を行う場合、参列できなかった方々に不満を残してしまうことがありますので、どなたにご案内をするか慎重に検討しなくてはなりません。またお呼びしない方々に対しては、密葬への理解が得られるよう丁寧に意思をお伝えし、また生前のご厚誼へのお礼をしっかり表現することが大切です。

「密葬」「本葬」の特徴

「密葬」と「本葬」、もしくは「お別れの会」をセットで執り行う場合は、「本葬」「お別れの会」の葬儀委員とも打ち合わせをして、通夜と密葬の式次第、装飾、演出などを決定します。密葬はご遺族主体のものですから基本的にご遺族の意向に沿って行われますが、費用の支払いをはじめ、本葬と一体となったものとして扱います。

密葬と本葬は規模も目的も異なるため、以下のような違いがみられます。

  実施時期 新聞広告など 葬儀のスタイル 供花・お香典
密葬 逝去後すぐ(数日~1週間) 一般への告知はしない 喪家の意向により宗教儀礼を行う 受領・辞退は喪家が自由に決める
本葬 1カ月ほど後 訃報記事や黒枠広告を出す 無宗教で行うケースが多い 税務上の都合から一般的にお香典は辞退する

密葬のマナー

密葬には、遺族側のマナーと会葬者側のマナーがあります。通常とは少し異なるスタイルの葬儀のため、両者ともに配慮が必要です。

<遺族側のマナー>

1.密葬でも親戚や親しい方には事前にお知らせをする

故人はご遺族以外の方々にとっても、大切な存在であるはずです。故人が親しかった方、お世話になった方に訃報を知らせないのは、その方々の存在やこれまでのおつきあいを軽視した行為とも受け取られかねません。逝去したことと密葬にすることを知らせ、弔問・供花・お香典を辞退するときにはその旨もお伝えします。

2.密葬を行った後に事後通知を送る

それほど親しくない方や少し疎遠になっている方々へは、密葬をすませた後にお知らせの書状をお送りします。通知の文面にはかならず「葬儀は故人の遺志により近親者だけで営みました」などの言葉を添え、理解していただけるよう努めましょう。弔問・供花・お香典を辞退する場合はそのことも記します。

<会葬者側のマナー>

1.会葬・弔問・供花・お香典などの辞退を伝えられたらそれに従う

密葬は故人やご遺族の「内輪だけで見送ってほしい」「見送りたい」という意思表明ですから、そのお気持ちを尊重します。「そうは言っても何もしないわけにはいかない」「遠慮しているだけだろう」「何かしらお手伝いできることがあるだろうから一応、伺おう」などは、会葬者の勝手な都合や考えですから控えるようにします。

2.事前に受けた密葬のお知らせは口外しない

外部へ話してしまうと、会葬する人が出てご遺族に余計な負担をおかけしてしまうこともあります。それでは密葬にした意味がありません。故人やご遺族の意向を損ねる事態につながるような行為は控えます。

密葬の費用の相場

「密葬」と「本葬」がセットになり、後日「社葬」や会社主催の「お別れの会」を実施するケースでは、「密葬」の葬儀費用も含めて会社が負担するケースが一般的です。

葬儀費用の金額は、規模・会場・葬儀の内容によって異なります。小額のケースでは30万円台の実施例もみられる一方で、数十人規模でも豪華な祭壇を設置したり、音楽家による生演奏など特別な演出を行えば、400~500万円の費用がかかるケースもあります。

密葬のお香典

密葬は表立った告知をせず、弔問を避ける葬儀なので、基本的には他人が関わることは控えます。密葬の連絡をもらわなかった方は、弔問しお香典をお渡しすることは遠慮するのがマナーです。

また密葬に呼ばれた場合、お香典を辞退する意思を喪主側から伝えられているなら、お香典をお渡ししません。密葬への参列を案内されたものの、とくにお香典について説明がないときは持参するべきでしょう。金額の相場は一般の葬儀と変わりありません。以下をご参考に検討されるとよいでしょう。

あなたと故人の関係 あなたが20代 あなたが30代 あなたが40代~
勤務先の上司・同僚・部下 5,000 5,000~10,000 10,000~
上記のご家族 3,000~5,000 3,000~10,000 5,000~10,000
友人・知人 5,000 5,000~10,000 5,000~10,000
ご近所 3,000~5,000 3,000~10,000 3,000~10,000
祖父母 10,000 10,000~30,000 30,000~50,000
両親・義両親 30,000~100,000 50,000~100,000 100,000~
兄弟姉妹、義兄弟姉妹 30,000~ 50,000 50,000
伯父・叔父・伯母・叔母 10,000~ 10,000~ 10,000~
その他の親戚 3,000~10,000 5,000~ 5,000~

また、会社の取引先の方が亡くなり、後に社葬が行われることを前提に密葬が行われるケースもあります。その場合、主催者は社葬でのお香典は辞退し、密葬でご遺族がお香典を受けるケースがほとんどです。ご自身の会社名や社長名で出したほうがよい場合もありますので、会社と相談の上、決めるようにします。金額は1~3万円が相場です。社長名や会社名で包む場合はおつき合いの深さにより3~10万円が一般的です。

一日葬

一日葬とは、お通夜をせず一日で火葬まで行うお葬式

「一日葬」は、近年行われるようになった新しい葬儀スタイルです。通常の葬儀では、まずお通夜を行い、翌日に葬儀・告別式と二日間にわたって執り行いますが、一日葬はお通夜を行わず火葬までを一日ですませます。

通夜の弔問・会葬者がありませんからご遺族の心身の負担や費用が軽減され、内輪の方のみで、故人と落ち着いてお別れすることができます。

一日葬の流れ
開式の辞 → 僧侶入場 → 読経 → 弔辞・弔電の奉読 → 読経・焼香 → 僧侶退場 → 閉式の辞 → お別れの儀(お花入れ) → 喪主の挨拶 → 出棺 → 火葬 → 骨上げ →(初七日法要)→ 精進落とし →散会

一日葬の特徴とメリット

一日葬には「日数が少ない」「ご遺族の心身の負担が抑えられる」「お通夜の費用がかからない」などの特徴があります。そのため、以下のような場合に利用されるケースが多くみられます。

  • ◇ご遺族の心身の疲弊が激しく、二日間のお葬式が大きな負担になる
  • ◇ご遺族、ご親族が遠方にお住まいで、二日間のお葬式が負担になる
  • ◇ご遺族、ご親族に高齢の方が多く、二日間のお葬式が負担になる
  • ◇ご遺族、ご親族が多忙で、休みをとりにくい
  • ◇葬儀の費用を抑えたいが、「直葬」ではなくきちんとお別れの場を持ちたい

短い時間でお別れができる一日葬は、現代の世相を写しとるように生まれたものだということがうかがえます。

一日葬にかかる費用の相場

一日葬ではお通夜がなく、一般的に二日間かかるお葬式を一日で行います。ただし、だからといって費用が半分ですむわけではありません。

一日葬にすることで削減される費用は、おもにお通夜の飲食接待費です。そのほかについては家族葬、密葬、一般葬などとさほど変わりません。たとえば葬儀式場に祭壇を飾る場合は、その設営とご遺体の安置は前日に行いますので、会場費についてはやはり二日間の使用料がかかります。

葬儀費用はほかの葬儀スタイルの場合と同様に、どのような祭壇や棺を使用するか、生花の使用はどうするか、会葬者の規模はどのくらいか、どのような装飾や演出をするかによって大きく異なります。

実施例からみると、小額なものでは40万円前後、高額なものでは400万円を超えるケースもあります。そのため相場は一概にいえませんが、多くは葬儀費用として50~150万円、そのほかにお布施等がかかります。

一日葬の注意点

一日葬は、お通夜をしないだけで、宗教儀礼はしっかり行われます。ただし地域や宗旨宗派、寺院によって、葬儀に関する方針はさまざまあり、お通夜を行わない葬儀を認めないケースも見受けられます。

よって一日葬を希望される場合には、検討段階で菩提寺やご親族とよく相談し、理解を得ておくことがトラブルを避けるために大切です。

一日葬のお香典

一日葬は一般的な葬儀ですので、参列する場合は葬儀の形式に合わせ、お香典を持参します。お香典の金額の相場は、亡くなった方との関係、おつき合いの深さによって変わります。以下におおよその相場をご紹介しますので、参考の上ご検討されるとよいでしょう。

あなたと故人の関係 あなたが20代 あなたが30代 あなたが40代~
勤務先の上司・同僚・部下 5,000 5,000~10,000 10,000~
上記のご家族 3,000~5,000 3,000~10,000 5,000~10,000
友人・知人 5,000 5,000~10,000 5,000~10,000
ご近所 3,000~5,000 3,000~10,000 3,000~10,000
祖父母 10,000 10,000~30,000 30,000~50,000
両親・義両親 30,000~100,000 50,000~100,000 100,000~
兄弟姉妹、義兄弟姉妹 30,000~ 50,000 50,000
伯父・叔父・伯母・叔母 10,000~ 10,000~ 10,000~
その他の親戚 3,000~10,000 5,000~ 5,000~

なお、亡くなった方が会社の取引先の方である場合、まずは上司と相談し、会社名(社長名)でお香典を出すかどうかを決めます。金額は亡くなった方が重役以上の役職に就いている方なら10,000円以上が相場で、そうでなければおつき合いの深さによって3,000円以上を包みます。お香典の代わりに弔電やお花をお贈りする場合もあります。

また社葬が行われる場合は、こちらのページ(「社葬」)を参考にご検討ください。

直葬

 

直葬とは、お葬式をせず、火葬のみを行うお見送りの方法

亡くなった方をお送りする方法にはさまざまありますが、中でももっともシンプルなものが「直葬」です。本来は、「お通夜」→「葬儀式」→「告別式」→「火葬」という一連の流れで行われるところ、「直葬」では火葬のみを行います。そのため「火葬式」とも呼ばれます。直葬は「葬儀」ではなく、「葬送」のひとつです。

直葬を希望される方は、「葬儀に費用をかけたくない」「遺族、親族がほとんどいない」「儀式としての葬儀にあまり意味を感じない」などの理由で選ぶケースが多くみられます。基本的には火葬だけの簡素なお見送りではありますが、もちろん希望すれば火葬の前に、僧侶に読経をしてもらうことも可能です。

直葬の流れ

直葬ではお通夜も葬儀・告別式も行いませんが、亡くなった場所から遺体をただちに搬出し、納棺して火葬されるまでの間、いったん安置しておくことが必要です。また火葬の予約をし、火葬場までの搬送もありますので、これらを一括して葬儀社に依頼することになります。

直葬の手順は以下のとおりです。

直葬の流れ
遺体の搬出 → 納棺 → 安置 → 火葬場への搬入 → 火葬許可証の提出 → (読経などの儀式) → 火葬 → 骨あげ → 埋葬許可証の受取り

火葬の際はかまどの前に小机が用意され、供花、香炉などが置かれていますので、そこに遺影を据え、ごく短い「納めの儀式」を行うこともできます。

僧侶による読経とともに、お焼香、合掌、礼拝を行い、お見送りをする方の合掌のうちに棺がかまどに入れられ、火葬されます。その後は火葬が終了するまで待ち、終了したら「骨あげ」を行います。骨壺と骨箱に納められた遺骨を大切にいただき、火葬場の受付けで埋葬許可証を受け取り終了となります。

直葬の費用と相場

直葬は費用が低額なことはたしかですが、契約をする際には費用の内訳をしっかり確認することが大切です。たとえば10万円以下の低額直葬プランでは、実際に直葬を行うために必要ないくつかのサービスや物品の費用が含まれていないことがあります。手配や作業を進める段階で次々に追加費用が加算され、最終的な支払額が予想外に膨れ上がってしまうことがないよう気をつけましょう。

直葬では、亡くなった場所から遺体を搬送し、火葬までの間、安置します。このとき「安置場所まで搬送する寝台車料金」「ドライアイス代」「安置料金」「枕飾り一式」などの費用がかかる可能性があります。不要な場合、枕飾り一式は省くことができますが、そのほかは必要なものばかりです。ところが、実際には火葬まで2日分のドライアイスが必要でも、低額プランでは1日分しか費用に含まれていなかったり、あるいはまったく含まれていないことがあります。そうすると当然、追加料金が発生します。

またその後の納棺に際しては、「棺の代金」「仏衣一式の代金」「棺用の布団代」「役所と火葬場の手続き代行料」がかかる可能性がありますが、低額のプランでは「仏衣代と布団代は別料金」ということも少なくありません。ご遺族がすぐに自前で用意できればよいですが、急なことでそうもいかず葬儀社にお願いするとなると、追加料金が生じます。

続いて火葬するにあたっては「火葬場まで遺体を搬送する寝台車料金」「お花代」「火葬料金」「骨壺および骨箱代」「スタッフ人件費」が費用項目として考えられますが、低額プランの提示金額には、この中の火葬料金が「低額ですむ場合の金額」で計算されていることがあります。公営の火葬場では火葬費用は数千円~50,000円ほどですが、民営だと50,000~150,000円かかります。日程的に民営を選ぶしかない場合、大きく追加料金がかかる可能性もあります。

そのようなことに留意し、葬儀社に直葬プランを依頼する際には充分に確認することをお勧めします。費用をできるだけ抑えたいと望まれた場合、実際に直葬でかかった費用は120,000~250,000円というケースが多くみられます。

直葬の注意点

直葬は、「遺していく家族に負担をかけたくない」「経済的に葬儀を行う余裕がない」という方々にとって意義ある葬送です。ただし、ほかの選択肢を選ぶこともできる場合、安直に「費用が安いから」「手間がかからないから」と直葬を選んでしまうと、後々問題が生じることもあります。

たとえばご自身が亡くなったら直葬にしてほしいとご家族に言い残し、そのとおりにしてもらった場合、ご遺族が「本当にあのような送り方でよかったのだろうか」「可哀想なことをした」など後々まで後悔することは少なくありません。

また直葬をすることがたとえ故人の遺志だったとはっきりしていても、ご遺族、ご親族の中には「このような送り方には納得できない」と非難する方が現れ、トラブルになるケースもあります。また直葬では火葬に立ち会うのは限られた身内の方に限られますから、ご親族や知人の中で「お別れをしたかったのにできなかった」という方々との間で感情的なしこりが生じることもあります。

関係者にはあらかじめ葬儀を行わない旨の連絡をし、葬儀を直葬にすることについて、よく理解してもらうことが大切です。

また葬儀は、遺された人々が大切な方の死としっかり向き合い、きちんとお別れをし、心に区切りをつける上で非常に大きな役割を果たしています。そのため葬儀の一切をしないことが、死別の悲しみを癒すプロセスを少々困難にする場合もあります。葬儀は大切な方とのお別れの場です。直葬を選ばれる際は、後で後悔しないようしっかり検討し、関係者の方々への相談を怠らないようにしましょう。

直葬のお香典

最後に、直葬で旅立たれる方へのお香典について知っておきましょう。通常、直葬の場合は一般の参列を行いませんし、喪家はお香典も辞退します。

もし「お線香を上げさせていただきたい」「お悔やみの気持ちを伝えたい」という場合は、後日、ご遺族にご連絡して弔慰を伝え、弔問を受けていただけるかお尋ねします。ご自宅への弔問はご迷惑になる場合が多いので、かならずご意向を尊重し、もしご遺族から遠慮される言葉があった場合は控えるのがマナーです。お返し不要の「お供え物」をお贈りするなどにとどめておきましょう。

弔問を受けていただける場合のみ、日時をお約束の上、お香典とお供え物を持参してご自宅にうかがいます。お香典は受けていただけない場合がありますが、お供え物はお受けいただける場合がほとんどです。お香典は3,000~5,000円が一般的です。故人への思いも大切ですが、ご遺族に配慮した振る舞いを心掛けましょう。

宗教毎の葬儀

日本特有の宗教観を背景にした、多様な旅立ちの形

日本人の宗教行動は少々、独特です。特定の宗教に帰依することなく、神道からも仏教からもキリスト教からも宗教的な学びを得るという大らかな姿勢の方が多くいらっしゃるのは、ご存知のとおりです。お正月には神社に初詣に行き、結婚式は教会で、お葬式は仏式に――。そういったケースはごく一般的にみられます。

葬儀、葬送については、宗教と切り離して行われるケースは現在でも少数派です。多くは仏式ですが、神式、キリスト教式、そのほか故人や喪家の信仰により、宗教儀礼に従って多様なスタイルのお葬式が執り行われています。

宗教に関連する葬儀のトラブル

葬儀の宗教に関しては、ご本人の意向や信仰はもちろん、ご家族の信仰、先祖代々の信仰などを考え合わせた上で決定し、行う必要があります。葬儀、宗教、どちらも非常に大切なことであるがゆえ、意見が異なった場合、感情的なトラブルに発展しやすいためです。

たとえば「先祖代々、浄土宗の寺院の檀家であったけれど、自分はキリスト教を信仰するようになった」などのケースでは、ご自身の葬儀をキリスト教式で挙げてほしいと強く望まれるでしょう。しかしあらかじめ意思をご家族に伝え、葬儀社や教会に事前相談をするなどの準備がなされていない場合、故人の希望通りの葬儀が行われないこともありますし、行われてもご親族間で不満や異議が生じることもあります。

やはりご自身の葬儀については、どのようにしたいか生前に決め、周囲の方々に理解を得ておくとよいでしょう。ときには宗教的トラブルによって葬儀のやり直しを迫られるケースもあります。

たとえば菩提寺がありながら、そのお寺とは異なる宗旨・宗派で葬儀をしてしまった場合、菩提寺のお墓に入れないこともあります。菩提寺のお墓に納骨するため、葬儀をやり直すケースもまれにみられますので注意が必要です。

死生観の違いが、葬儀の意味・スタイルの違いを生む

宗教が違えば、死生観が異なります。死生観が異なれば、葬儀の意味も内容も違ってきます。たとえば「人は死んだ後にどうなるのか」「死とは命においてどのような出来事であるのか」という宗教的死生観が、それぞれの宗教の葬儀に反映されます。

多くの方に信仰されている仏教、神道、キリスト教における死の意味と葬儀の目的は以下のとおりです。仏教では仏様の弟子になる儀式、神道では家の守り神になる儀式、キリスト教では神のもとで安息を得る喜びの儀式という違いがあります。

宗教 死の意味 葬儀の目的
仏教 死者は来世で仏様の弟子になる とくに禅宗などでは、死者に仏弟子の戒律を授け引導する儀式
神道 死後、故人の霊魂は家に留まり、祖霊とともに家族の守り神となる 故人の霊魂を家の祖霊舎(みたまや)に入れ神として祀る儀式
キリスト教 死は召天・帰天と呼ばれ、神に召され天国で安息を得る幸せなこと 故人が神に召され安息を得られるよう祈る儀式

神道の葬儀・葬送の流れ

仏式のお葬式に参列すると、清め塩が配られますが、これはもともと神道の作法でした。神道において死は穢れ(けがれ)とされるので、清めの塩が必要とされ、それが自然と仏式に広がったものです。

ほかにも、本来は告別式がないキリスト教式において告別式を行うなど、時折、異なる宗教の作法が取り入れられている例はありますがが、基本的にはそれぞれの宗教の教えに厳密に則った式次第が実施されます。

ここでは神式の見送り方についてご紹介します。

枕直し 新しい褥(しとね=寝床)に遺体を北枕で安置して枕元に守り刀を置き、正面に祭壇の枕飾りを作ります
帰幽奉告

(きゆうほうこく)

神棚や祖霊舎(みたまや)に向かって、斎主(神職)が「帰幽」、つまり死亡したことをお伝えします
神棚封じ

 

神棚や祖霊舎の前面に白紙を貼り、五十日祭の忌明けまで封じます
納棺 褥ごと棺に納めます。死装束には「神衣」である白の狩衣を用い、男性なら烏帽子と笏、女性には扇を持たせ神様の姿にします
通夜祭・遷霊祭

(御霊うつし)

故人の霊魂(みたま)を、御霊代(みたましろ)と呼ばれる物体(故人の遺品や神具)に移し留める儀式で、夜間に行います。移された瞬間から故人は神様となり、新たな名が贈られます
 

葬場祭

葬儀・告別式にあたるもので、一般の会葬者も参列します。お祓いの後、神となった故人を祖霊神とともに祭壇にお迎えする儀式を行い、祭詞奏上、奏楽、玉串奉奠などをして、終了したら神に祭場からお帰りいただきます
出棺祭 本来の出棺祭は夜、松明を灯し葬列を組んで行われましたが、現在は日中に出棺するためあまり行われません
火葬祭 火葬炉の前で神饌を供え、斎主が祭詞奏上し、遺族が玉串奉奠、拝礼をし、火葬します。その後、骨上げを行います
埋葬祭 本来の手順では火葬後すぐに遺骨を墓所へ埋葬していましたが、現代では一度自宅へ持ち帰り、忌明けの五十日祭と併せて埋葬祭を行うのが一般的です
帰家祭 埋葬後、自宅の門口で神職のお祓い、手水、清め塩をして家に入る「帰家修祓(きかしゅうばつ)の儀」を行います。新しく作られた祭壇に御霊代(みたましろ)を安置し、玉串奉奠をします
直会 葬儀の神職や世話役などの労をねぎらう宴席で、仏式の「通夜振る舞い」「精進落とし」にあたります。魚や肉の料理は問題ありませんが、火の使用がタブーのため仕出し料理を用います

キリスト教の葬儀・葬送の流れ

キリスト教の葬儀・葬送では、死の迎え方が大切にされます。ご臨終に際し、カトリックでは神父、プロテスタントでは牧師をお呼びし、神に祈りながら旅立ちの時を迎えます。

ここではカトリックの見送り方をご紹介します。

病者の塗油の秘蹟 「聖油の秘蹟」とも呼ばれます。すべての罪からの解放と、永遠の安息を神に祈願するものです
聖体拝領 逝去前、または逝去直後に行います。キリストの肉体「聖体」を象徴するパンと葡萄酒を、神父が旅立つ方に与えるもので、仏式や神式の「末期の水」にあたります
 

納棺式

自宅に安置した遺体を囲み、司祭の導きで祈りと聖書朗読、聖歌斉唱し、神父が祈祷し清めた聖水を遺体に撒きます。祈りの後、納棺して故人の手を胸の上で組み十字架とロザリオを置き花で飾ります。神父の祈り、偲ぶ言葉、聖歌斉唱、全員での祈りと撒水が行われます
 

出棺式

通常カトリックでは教会で葬儀を行うため、いったん自宅に安置された遺体を教会に搬出します。この出棺のとき神父が祈りを捧げる儀式を執り行います。最近は教会での葬儀後、火葬場へ向かう際に行う場合も多くあります
 

葬儀

カトリックでは「入堂式(=開式の辞)」「ミサ聖祭式(洗礼を受けた信者のみ)」「赦祈式(しゃとうしき、生前の罪の赦しと永遠の安息の祈り)」の3つの儀式があります
 

告別式

本来告別式はありませんが、最近は教会と相談の上、故人の略歴紹介、弔辞や弔電の奉読、献花、聖歌合唱からなる告別式が実施されることが多くあります
 

火葬式

キリスト教では土葬が基本ですが日本では荼毘にふされます。火葬場では火葬炉の前で聖歌合唱し、司祭の祈り、聖句交唱があり、撒水、撒香などが行われます
埋葬式 火葬式に引き続き、そのまま遺骨を埋葬する場合もありますが、多くは以下の追悼ミサの日に合わせて行われます
追悼ミサ 故人が亡くなって3日目、7日目、30日目、そして毎年の命日に、教会や自宅で追悼ミサを行います

上記はカトリックの一般的な葬儀・葬送の手順ですが、プロテスタントではカトリックほど厳格ではなく、より柔軟で簡素な儀式が行われます。しかし数百を超える宗派によって内容が異なりますので、属している教会に確認されるとよいでしょう。

*仏式葬儀については「一般葬」のページで詳しくご紹介しています。

無宗教葬

現在はまだ少ない葬儀スタイルですが、特定の宗教の葬儀方法や伝統的な作法によらず、宗教者による葬祭行為も行わない「無宗教葬」をあげるケースもあります。

シンプルな「お別れの会」「偲ぶ会」などの形式もありますし、故人らしいオリジナルな葬儀で見送りたい、見送られたいという思いから、ユニークなスタイルの葬儀が大がかりに行われることもあります。

そのような葬儀は「自由葬」「プロデュース葬」などとも呼ばれ増える傾向にありますが、しっかり対応できる葬儀社を選び、事前相談や生前予約をしておくことが必要です。

自然葬

自然葬とは、散骨や樹木葬など、遺骨をお墓に納めない葬送法

最近はご自身の葬儀・埋葬について、自由にプランを立て、生前に準備される方が増えています。そんな中、人気を集めているもののひとつが自然葬です。自然葬とは、「散骨」や「樹木葬」など、遺骨をお墓に納めない葬送法の総称です。

「死んだら雄大な自然の中で眠りたい」「自然に還りたい」「遺していく家族にできるだけ負担がかからないようにしたい」「お墓を守ってくれる子孫がいない」など、死生観、ご家族の状況、遺していく方々への配慮など、自然葬を希望される方の理由はさまざまです。

自然葬の種類

現在、日本で可能なスタイルは「散骨」「樹木葬」の二つに集約されます。

散骨はご存知のとおり、遺骨を細かくして海や山に撒く方法です。かつては法律との兼ね合いが曖昧で違法ではないかとの意見もありましたが、現在では法務省の正式な見解として、節度を持って行われる限りにおいて葬送のひとつと認められるようになりました。

もうひとつのメジャーな自然葬は、樹木葬です。こちらは霊園や寺院が運営する墓地において、樹木を墓標にし、土中に遺骨を埋葬するものです。墓地を利用するものの、自分自身の遺骨を自然に還したい、自然の一部となりたいという死生観を持つ方々の思いに応える葬送です。

自然葬を希望する方は増加しており、自然葬を手がける葬儀社や、自然葬を専門とする葬儀社も登場しています。

自然葬の法律

自然葬に関連するのは昭和23年に公布された「墓地・埋葬等に関する法律」です。これに照らすと散骨などは「死体遺棄」にあたるのではないかという議論がなされてきましたが、人々のお墓や葬送に対する意識の変化や、自然葬を推進する団体の働きなどにより、法務省からは一定のルールに則って行う限り葬送として認めるとされました。

具体的な指針は、以下のとおりです。

骨について *骨だとわからない形状にすること

*遺骨はおおよそ2mm以下に細かく粉砕すること

場所について *他人名義の土地は禁止。もしくは許可をとること

*他者に迷惑が及ばないよう配慮すること

*環境問題に配慮すること

人さまの遺骨があまり気にならないという方は少数派ですので、海や山に散骨する際には、たとえ目にすることがあってもわからないよう粉末状にし、海水浴場や漁場、人々が集う場所を避けてまくなどの配慮が必要です。

また樹木葬については「埋葬」になり、こちらは従来の法律がそのまま適用されます。遺骨を「まく」「埋める」という違いだけですが、法的な扱いが異なることは知っておきましょう。樹木葬では、たとえ遺骨が細かく粉砕してあっても、埋葬できるのは都道府県や市区町村が許可を出している墓地に限られます。

自然葬のメリット

ひとつの葬送のムーブメントともなっている自然葬ですが、メリットとデメリットを整理しておきましょう。

メリットのひとつは、故人の「自然に抱かれて眠りたい」「大地に還りたい」などの気持ちを実現できる点です。さまざまな価値観がある中、時代を問わず死後の自分の肉体を自然に還したいと強く望まれる方は意外に多く存在します。ベーシックな死生観のひとつといえるでしょう。その希望がかなえられる点がいちばんのメリットです。

もうひとつのメリットは、費用が低く抑えられる点です。自然葬でも費用はかかりますが、一般的な葬儀と比較してかなり低額ですみますし、高額な墓石の購入費などがかかりません。

また多くの方の支持を得ているメリットとして、「遺族への負担がかからない」という点が挙げられます。普通の葬儀・埋葬を行った場合、墓地の維持管理、墓石のメンテナンス、定期的な法要などのため、費用も手間もかかります。それをできるだけ軽減したいという方々が、生前に自然葬を準備されるケースも多くみられます。

自然葬のデメリット

近年人気の自然葬ですが、いくつかデメリットも存在しますので、検討している方は以下の点に留意されるとよいでしょう。

ひとつのデメリットは、後になってお墓を作りたいと思っても、遺骨が手元に残っていないため、形だけのお墓しか作ることができない点です。「死んだ人はお墓に暮らすわけではない」「墓地や墓石にはあまり意味はない」と考えている方が時折いらっしゃいますが、実際は大きな意味を持っています。

遺族が故人を偲び、別れを受け入れ、心の淋しさを癒していくために、お墓という「形」やお墓参りに行く「時間」を持つことが大いに役立ちます。遺族にとっては、すでにこの世にいない大切な人のためにお墓を掃除してあげること、好きだったものをお供えしてあげること、お花を飾ってあげることなどが喜びになり、心を慰めます。

また故人に語りかけたいときにも、お墓・お仏壇などの「形」があり、宗教的な「意味」のある対象を通じて語りかけるほうが、より故人とのつながりを実感できるものです。そのため、いったんは自然葬をしたものの、後になって「やっぱりお墓を建てたい」と心の拠り所としてお墓を求める遺族の方は意外に多くいらっしゃるのです。

お墓は旅立つ方のためだけでなく、ご遺族のためのものでもあります。自然葬を望んでいらっしゃる方は、後々のことも含めてご家族から充分に理解が得られるようよく話し合ってお決めになることをお勧めします。 

自然葬の費用

自然葬は「葬儀」ではなく「葬送」のひとつのスタイルですから、一般的な葬儀を行った後に遺骨を散骨するケースもあれば、葬儀を行わず火葬場で荼毘にふす「直葬」の後に樹木葬をするケースもあります。そのため葬儀・葬送のトータル費用は葬儀の有無や規模によって大きく異なります。ここでは葬儀は別として、葬送としての自然葬にかかる費用をみていきましょう。

まずは散骨ですが、海洋散骨をする場合「個人散骨」「合同散骨」「代行(委託)散骨」などの種類があります。個人散骨では、小形の船をチャーターし、ご家族だけで海に散骨します。献花、献酒、同行者のお茶菓子や記録用の写真撮影などを含めたプランではおおよそ18~25万円の料金が多くみられます。

また自社所有の船を使用する会社のプランや、数組のご家族がひとつの船に乗る合同散骨では8~15万円と価格が下がります。ほかにご遺族が同行されない代行散骨の場合、5万円ほどで請け負う業者もあります。ただし、遺骨を細かく粉砕する費用1~3万円が別に必要な場合もありますので、費用に何が含まれているか、申し込む前によく確認しましょう。

一方、樹木葬は法律により墓地として認められた場所に埋葬するものですから、「埋葬料」のほか、「永代使用料」「運営管理費」がかかります。永代使用料は墓地・霊園の土地を使用する費用で、樹木を墓標とした自分だけの墓地区画を持つ場合は、この費用が必要です。樹木葬における埋葬料・永代使用料の相場は25~60万円ほどになります。

また樹木葬では合葬タイプ、合祀タイプも一般的です。合葬タイプはひとつの区画に多くの方の遺骨を個別に埋葬するもので、合祀タイプは遺骨を個別には取り扱いません。こうしたケースでは10~20万円といった料金が多くみられます。ただし「運営管理費」が含まれているケース、含まれていないケースがありますのであらかじめ確認が必要です。