大学ノートなどを利用した自分史・エンディングノート
大学ノートを使ったエンディングノート
■「気負いなく始められること」に大きな価値がある
エンディングノートを作るときの意外な困難を、あなたはご存知ですか?
「買ったけれど、なかなか時間がとれなくて手がつけられない」
「大事なものだから、いろいろ調べて正しく書かないと」
「革張りの豪華装丁版にしたから、書き損じてはいけない。まず下書きをしなくては」
実はこのように、ノートを準備したのになかなか書き始められない方が多くいらっしゃるのです。大事なことだと思う気持ちが、作業を始めるハードルを高めてしまっているのでしょう。でも、そのままの気持ちで書かずにいると心の負担が重くなり、ますます着手が遠のきます。
大切なのは、気楽に始めること。どのページから書いてもいいし、途中でしばらくやめてもかまわない。失敗したら「下書き」と思って新調すればすむこと――。そんなふうに楽な気持ちで取り組むことをおすすめします。それには、文具店で売られている普通の大学ノートを利用するのもよい手段です。
■大学ノートの意外な機能性を発揮するエンディングノート
大学ノートで作るエンディングノートのメリットは、「気楽に書ける」という心理的なものだけではありません。機能的にも優れた点があります。ここで利点をまとめておきましょう。
◇安価で親しみのあるノートなので、気楽な気持ちで書きやすい
◇ページが平らに開くので書きやすい
◇どこでも買うことができ、新調しやすい
エンディングノートは、最終的には「読むもの」になりますが、重要なのは「書くもの」としての機能です。市販されている立派なエンディングノートは、製本の仕方(ページの綴じ方)が通常の書籍と同じようになっていて、ページを開くと中央部の綴じた部分に近いところが山なりに盛り上がり、書きにくいことが多いのです。開きにくい、書きにくい、というのは、実際に書き進める際に大きく気になるものです。
また、さらに機能性を求めるなら、バインダー式のノートを利用されるのもよいでしょう。大学ノートでは、「大幅に加筆をしたい」「大幅に修正したい」というときに困りますが、ページを丸ごと挿入したり削除したりすることができるバインダー式ノートでしたら、さほど問題は生じません。
■大学ノートでエンディングノートを作るときの注意点
エンディングノートを大学ノートで手製するとき、いくつか留意すべきことがあります。
◇誤って紛失、破棄してしまわないよう、あつかいに注意する
◇書き込む内容については、既成のものを参考にしながらもれがないよう留意する
◇どこに何が書いてあるかわかりやすいよう、構成、レイアウトを工夫する
大学ノートは親しみやすいノートだけに、扱いが少々雑になってしまう傾向があります。書き進めている途中でも、書き上げてからも、部屋にふと置いたまま雑誌や書類を積み重ね、誤って捨ててしまった――。そのような失敗が起こらないよう、保管場所に気をつける必要があります。
また大学ノートで自作する場合でも、既製品のエンディングノートよい点は、遠慮せずに採用しましょう。たとえば記入項目について、自分ひとりで考えた場合はどうしてももれが生じます。無料のテンプレートなどを参考にして、しっかり記入項目を設定しましょう。
もうひとつ、既製品をお手本にするとよいのは「見やすさ」「読みやすさ」です。手書き文字はただでさえ読みづらくなりがちです。その上、どこに何が書いてあるかがわかりにくいと、目当ての情報を探すため端から端までじっくり読まなくてはなりません。そういったことがないよう、既製品の構成(章立て、項目の分類の仕方など)、レイアウト(配置によって項目を目立たせる工夫など)を参考にします。
大学ノート製の手作りエンディングノートには、たくさんの魅力があります。気楽に書くことができ、また自筆なので、ご自身の個性がページのあちこちに顔を覗かせます。書き損じがたくさんあったり、逆に几帳面にととのえられていたり、いたずら書きのように挿絵やメッセージが書かれていたり――。あなたの人柄がよく現れたものに仕上がります。きっと遺されたご家族が、何度も眺めて味わい楽しめるエンディングノートになるでしょう。