良い葬儀屋さんの選び方
「良いお葬式」の実現には、まず「良い葬儀屋さん」選びを
たとえどんなに良いお葬式を計画しても、依頼した葬儀社に問題があれば、それを実現できないばかりでなく、ミスやトラブルさえ起きかねません。故人を深く思い、会葬してくださる方々にも心を配ったお葬式を予算の中で最大限の形にする。そのためには、誠実に力を注いでくれる良い葬儀屋さんを見つけることが重要です。
良い葬儀屋さんは、「旅立たれた方のお気持ち」「ご遺族の意向」「故人のお立場などの事情」「ご予算などの条件」を反映しつつ、心のこもったお葬式を実現します。そのようなお葬式は故人の魂を慰め、ご遺族や参列者の方々の心を慰めます。では、良い葬儀屋さんはどのように探したら見つけることができるでしょう?
葬儀社と出合う3つのルート
お葬式の施主となるわたしたちが葬儀社と出合うには、主に3つのルートが存在します。
◇病院(あるいは警察署など)から葬儀社を紹介してもらう
◇地元で店舗を持ち営業している葬儀社を探す
◇インターネットを通じて葬儀社を探す
それぞれの特徴やメリット、デメリットを整理しておきましょう。
病院から紹介される葬儀社の特徴
病院で亡くなると、すぐに遺体にエンゼルケアと呼ばれる死後の処置が行われ、数時間のうちに搬出しなくてはなりません。遺族は病院から、お葬式を依頼する葬儀社の心当たりがあるかどうか尋ねられ、もしない場合は紹介することもできるという話をされます。
このようなパターンで病院から紹介される葬儀社は、それなりに実績があると考えてよいでしょう。病院は紹介する葬儀社を入札によって決めたり、地元で長年営業している信頼できる葬儀社を選んだりしています。ただし、お葬式の費用が高い傾向があるのも事実です。葬儀社は費用を投入してその立場を得ているため、どうしても価格が高めになります。安心してまかせられる点はメリットですが、費用をできるだけ軽くしたい場合は最善の選択とはいえないでしょう。
地元密着型の葬儀社の特徴
地元に店舗を構えて営業している葬儀社は、近年、数が減少傾向にあります。ただし長年、営業を続けている葬儀社は、よい葬儀社だから生き残ることができているともいえます。たとえ小規模の葬儀社であっても、信頼できる仕事を行う葬儀社かもしれません。地元の人々に評判などを聞いて確認されるとよいでしょう。率直な評価や具体的なエピソードは、よい判断材料になります。とくに地元の会葬者が多く見込まれる葬儀の場合、検討する価値があります。
こういった葬儀社は、地元の状況に詳しく、葬儀にかかわる多様な業者とのつきあいも深く、安心してまかせられる点がメリットです。その一方で、通常のお葬式の施行には慣れていても、特別な演出などユニークな葬儀については苦手なケースが目立ちます。また取引業者が長年固定されているため、扱っている商品やサービスが限定され、融通がききにくい傾向もみられます。
地元密着型の葬儀社は、駅や商店街の看板広告、市区町村の広報などでよく目にされると思いますが、役場や町内会に問い合わせると教えてもらうことができます。
インターネットで出合う葬儀社の特徴
現在ではほとんどの葬儀社がインターネット上で広告活動を行っています。インターネットを利用した葬儀社探しのメリットは、情報量の多さです。検索システムを利用して、ご自分の地域で営業している葬儀社を数えきれないほど見つけることができますし、費用の目安や、どのタイプの葬儀を得意にしているかが記載されているため、希望に合う葬儀社を見つけやすいといえます。
ただし、実際に地元で店舗を構えている葬儀社と違い、実体がわからない点を不安に感じる方がいるかもしれません。その場合は、「創業年数」「施行例の写真」「費用例」などが豊富なところを選び、実際に電話で問い合わせをして対応をみるのもひとつの方法です。
またインターネットでは、全国展開をするなど広域で営業している大手の葬儀社が目につきます。大手の葬儀社は、比較的費用が低価格な傾向があります。ただし料金表示には、ごく基本的な料金しか含まれていませんので、書かれている金額だけで判断することは控えておきましょう。
またインターネット上には、葬儀社を紹介するサイトが多数、存在します。しかし必ずしも客観的な情報であるとは言い切れませんので、サイトの運営団体がどこなのかを確認し、情報の公正さを判断してから参考にされることをお勧めします。
「良い葬儀社」を見つけるチェックポイント
良い葬儀社の選び方には、いくつか注意点があります。以下にまとめましたので、葬儀社にコンタクトをとる際にはご参考になさってください。
☑行いたい葬儀のタイプに合った葬儀社を選ぶ
葬儀社にはそれぞれ個性があり、得意としているお葬式の種類が異なります。そのため希望するお葬式のスタイルがある場合は、その点を踏まえてお探しになるとよいでしょう。たとえば「小さい会社だが社葬を行いたい」という場合は、社葬の実績が豊富な葬儀社にお願いするべきですし、「費用を抑えた小規模のお葬式にしたい」という場合は、直葬や家族葬の案内を前面に出している葬儀社を選ぶのが一番です。
☑問い合わせの電話への対応が丁寧で親身な葬儀社を選ぶ
これまでにおつき合いのない葬儀社にアプローチするときは、メールでなく電話をかけるようにします。もちろん電話の対応だけで葬儀社のよしあしを正確に判断することはできませんが、直接に話をすれば、電話に出てくれた方の人柄や葬儀社の雰囲気など、わかることは多いものです。少なくとも電話での問い合わせに雑な受け答えをしたり、質問に答えてくれず正式な打ち合わせや申し込む手続きを急かす様子があったら、やめておいたほうが賢明です。
☑こちらの要望を細かく聞いてくれる葬儀社を選ぶ
中には「面倒な葬儀はしたくない」「手早く契約を決めてしまいたい」とばかりに、葬儀社が特定のプランを強く推してくることがあります。そうではなく、こちらの要望をこと細かに聞いて理解してくれる葬儀社を選びましょう。実際には「どのようなお葬式にしたらよいかわからない」という施主の方も多いでしょうが、そのような場合も良心的な葬儀社であれば、具体的な選択肢を挙げて検討作業をサポートしてくれます。
☑契約を急かしたり、葬儀社の提案を強引に勧めたりしない葬儀社を選ぶ
葬儀社側にしてみれば、早く契約を決めたいのは自然なことです。また、葬儀について右も左もわからない施主に細かいことを一つひとつ説明するのは大変手のかかる作業です。しかし良い葬儀社であれば辛抱強く丁寧に説明する段階を踏み、きちんとお話を進めてくれます。こちらが充分な理解をしていないまま契約を急かされた場合は気をつけたほうがよいでしょう。
☑施行サンプルとして写真などを見せてくれる葬儀社を選ぶ
誇りと自信を持って仕事をしている葬儀社は、過去の施行例を進んで見せてくれます。過去の事例はその葬儀社の実力を形にした、もっともわかりやすい成果だからです。「実際の雰囲気を知りたいので、過去のケースの写真などを見せてもらえますか?」と尋ねてみましょう。
☑見積書を詳しく説明してくれる葬儀社を選ぶ
葬儀費用の見積書は、誤解しやすい点をたくさん含んでいます。そのため良心的な葬儀社であれば、見積書を手渡し、総額を示すだけですませることはしません。内訳や、費用が増えそうなポイント、施主が自由にグレードを選べる項目などについて説明し、こちらの意思確認をしてくれます。そのような姿勢がみえない葬儀社はおやめになったほうがよいでしょう。
☑葬祭ディレクターの有無、JECIAの評価、国際規格の取得の有無を参考にする
必ずしも必要というわけではありませんが、これらは葬儀社がサービスの品質を高め、それを広く告知しようという姿勢の現れともいえます。葬祭ディレクターとは、厚生労働省が認定した民間資格で「全日本葬祭業協同組合連合会」と「全日本冠婚葬祭互助協会」が主催しています。葬祭業界で働く上で必要な知識と技術を習得していると示す資格ですので、ある程度の目安になるでしょう。またJECIAは「日本儀礼文化調査協会」が葬儀社を評価し、格付けしています。国際規格ISO9001は「日本品質保証機構」が審査するサービスの品質保証です。こういった評価を参考にするのも有効です。