自分史・エンディングノートを書く際の注意点
エンディングノートを書くときの注意点
■正確なエンディングノートを作るために必要なこと
エンディングノートを作成する際、あらかじめ心得ておくことは、次の二つです。
◇情報を正確に記載するよう細心の注意を払う
◇法的な効力はないと理解しておく
せっかく手間をかけ作り上げても、肝心の情報が誤っていたのでは、かえってご家族に迷惑をかけてしまいます。とくにエンディングノートの場合、書かれていることは正確だという強い先入観がありますから、疑念が生じても「間違っているはずがない」と誤った情報にこだわり続け、傷を広げてしまうことになりがちです。
記載の誤りがないエンディングノートにするためには、「注意深い記入と確認」、そして「最新情報への更新」が必要です。保険をかけ替えた、携帯電話やメールアドレスを変更した、友人知人に住まいを移した人がいる、あらたに警備会社や家事サービス会社と契約をした――。
生活していればつねに変化が生じます。それらをもれなくエンディングノートに記載するよう、習慣づけるとよいでしょう。またご自身のお誕生日や年末・年始など時期を決めて、定期的に点検・更新作業をする方法もあります。
■法的効力はないので必要なら公正証書などを併用する
エンディングノート作りのもうひとつのポイントは、法的効力がないことを心得て、必要に合わせ公正証書遺言などを用意することです。意思を正確に伝えるだけならエンディングノートが充分に役割を果たしますが、とくに相続などについて、死後にトラブルになりそうなことがあれば、意思どおり遂行されるようほかの手段が必要です。
遺言書の方式にはおもに「自筆証書遺言」「公正証書遺言」の2種類があります。
◇自筆証書遺言……本人が自筆で作成・署名・捺印し、証人・立会人は不要。捺印は実印・認め印・拇印のいずれでもよく、封入はルール上不要ですが、偽造・変造の心配があるので通常は封入し、保管は本人がおこないます。
◇公正証書遺言……公証人が作成し、2人以上の証人・立会人が必要。署名捺印は本人・証人・公証人それぞれが実印を用いておこない、封入は不要。原本は公証役場、正本は本人が保管します。
自筆証書遺言は、作成方法が簡便で費用もかかりませんし、自分以外の誰にも内容を知られず作ることができます。ただし本人が保管するため、管理状況によっては内容を見られたり、変造されたりするリスクがあります。また遺言を執行する前に家庭裁判所で「検認」という手続きが必要になります。
一方の公正証書遺言は、作成手数料がかかり、少々手間も増えます。また証人と立会人には遺言書の内容を知られることになります。しかし保管は確実ですし、検認手続きも不要。確実な方法として一般的に利用されています。
■生存中に秘匿しておきたい情報にはそれなりの手当を
エンディングノートには、きわめて個人的な情報、そしてきわめて重要な情報が満載です。持ち歩くことなくご自宅で保管していれば盗難・紛失の恐れはほとんどないでしょうが、それでも万が一の事態を想定しておくことは大切です。
たとえば、誤ってエンディングノートを捨ててしまったとします。そのノートが最終的に可燃ゴミとして焼却される前に、誰かの目に留まり、持ち帰られてしまったら――。ノートに銀行口座の暗唱番号、クレジットカード番号、インターネットショッピングのログイン情報などがこと細かに書いてありますから、不正利用されるリスクが生じます。
そういったわずかなリスクでも回避したいという場合は、「書かなくてもよい情報は書かない」「クレジットカードの番号などは全桁を書かずに一部だけ記載しておく」などの工夫が必要になります。また「存命中には家族にも読まれたくない」「知られたくない」という事柄については、記載したページに白紙を重ね、テープで袋とじにしておくとよいでしょう。