遺産分割において、親の介護をした事は寄与分として認められるか

遺産分割において、親の介護をした事でより多くの財産をもらえるか否か。寄与分制度について解説の上、遺産分割でトラブルを起こさないために必要な事をご紹介致します。

遺産分割において、親の介護をした事は寄与分として認められるか

生前に故人の介護をした事は、遺産分割の際、加味すべき事です

各相続人の相続分は、法定相続分といって、法律で定められています。但し、これには修正規定があり、この修正規定を寄与分と言います。寄与分とは、故人の財産の維持又は増加に対して、特別な寄与をした相続人に認められるもので、その寄与の程度を相続分に反映させる規定です。

生前に故人の介護をした事は、通常、介護施設による療養生活で支出していたはずの費用を、介護をした事で免れたと考えられるため、故人の財産の維持に特別な寄与をしたと考える事が出来ます。従いまして、遺産分割の際、寄与分として加味すべき事項となります。但し、これが寄与分として法的に認められるものであるか否かは、ケースバイケースです。そのため、「寄与分として認められる」ではなく、「加味すべき事項」としています。

故人の介護が寄与分として認められるには

相続人間で、話し合いで決める事となる

故人を介護した事が、故人の財産の維持に対し、特別な寄与であるとして認められる必要があります。寄与分として認めるか否か、認めるのであれば、その割合はどの程度かといった事は、第一に、相続人間の話し合いで決める事となります。例えば、周に数回、親に日用品を購入して届けていただけのような場合、扶養義務の範囲と考えられるため、法的に寄与分として内容ではないと考えられますが、相続人間での話し合いの中で、寄与分として一定額を認め、遺産分割をする事も可能ですし、その逆も然りです。

寄与分制度における、『特別な寄与』については、明確な基準がありません。その上、介護保険制度の導入により、寄与分が認められにくく、かつ少額になり易くなっているようです。

遺言があれば、揉めずに寄与分を加味できる

寄与分を遺産分割で話し合う事は、遺産相続トラブルに片足を入れるようなものです。明確な基準の無い、利害の対立する内容についての話し合いであり、これをまとめるのは難しく、話し合いがまとまらなければ調停手続きへ移行し、更に審判へと移行します。いずれも裁判所を介した手続きです。

このように、寄与分制度は、その判断がとても難しいものですから、遺言書で予め寄与分を考慮した遺産の分配を指定しておく事が、遺産相続トラブルを防ぐ上では重要となります。