遺言信託とは?

遺言信託とは

遺言信託のメリット

遺言信託という言葉を聞いたことはあるでしょうか。大手金融機関で宣伝されているため、聞いたことがある方も多いでしょう。

こちらのページでは、遺言信託とは何か、遺言信託を提供する事業者による違いやメリットについてご説明致します。

 遺言信託とは

遺言信託とは、遺言書の作成をして終わりではなく、遺言書の保管、遺言内容の実現までサポートするサービスです。

信託法に定められている遺言事項としての信託を設定する場合とは全く異なります。

遺言信託を利用するメリット

1.遺言内容を確実に実現する

遺言書は、作成して終わりではありません。効力を生じるのは、亡くなられてからであり、一定の手続きが必要となる事もあります。そのため、遺言書を作成していても、その内容が実現されるかは、確かではありません。不利益を被る相続人による、遺言書の隠匿や破棄、遺言内容に従わない等、様々なリスクが考えられます。この点、遺言信託を利用すれば、遺言内容の実現まで責任をもって行うため、上記のリスクを排除出来ます。

 2.遺言書の破棄や隠匿、不発見を防げる

自身の納得のいかない遺言書を、破棄したり、隠したり、又は書き換えたり等、遺言書の作成後、その保管においては様々なリスクがあります。また、遺産相続発生後に、遺言書が発見されずに、遺言書がないものとして手続きがなされてしまう事もあります。

この点、遺言信託では、遺言書を専門家の事務所金庫や、貸金庫等を利用して、厳重に専門家のもとで保管されるため安心です。

 3.自筆証書遺言、秘密証書遺言を活用できる

自筆証書遺言、秘密証書遺言は、遺言内容の有効性、紛失、改ざん、不発見と多くのリスクがあるため、これらの方法による遺言は勧められません。

しかし、弁護士や司法書士による遺言信託を利用する事で、これらのリスクを軽減する事が可能となり、自筆証書遺言、秘密証書遺言のメリットを活かすことが出来ます。

弁護士、司法書士、銀行。遺言信託はどこへ

遺言信託は、遺言書の作成、保管、執行の3つから成ります。遺言信託と呼称してはいなくても、多くの弁護士・司法書士が、単なる作成だけでなく、遺産相続発生後の手続きまでサポートしてくれます。こちらでは、弁護士、司法書士、銀行の3種による遺言信託のメリットをご紹介致します。

弁護士による遺言信託、司法書士による遺言信託

特徴

弁護士も司法書士も、サービス内容は変わらない

弁護士は、遺産相続においてトラブルが生じた際、代理人として事件の解決を図る事ができる唯一の職業です。ただ、遺言信託とは、遺言の執行(遺言内容の実現手続き)まで受任するものであり、遺言の執行者となる場合には、その遺産相続トラブルにおいて、代理人となる事は出来ません。

従いまして、遺言信託においては、弁護士・司法書士の職業による違いは生じないといえます。

メリット

弁護士、司法書士は法律の専門家であり、遺言によって可能な事項につき、制限なく遺言信託を行う事が可能です。また、銀行による遺言信託と異なり、遺言信託のお手続きを外注する事なく、直接行うため、費用を抑えることが出来ます。

銀行による遺言信託

特徴とメリット

銀行による遺言信託は、資産運用についてアドバイスを得ることが出来る点が、特徴でありメリットです。

また、大手銀行というブランドによる安心感が挙げられます。

 

遺言信託のデメリットはこちら

遺言信託の費用についてはこちら

遺言信託のデメリット

費用が高い

費用のご参考はこちら⇒ 遺言信託の手数料などの費用 

遺言書を作成するならば、遺言信託をした方が良い。遺言書は作成してそれで終わりではありませんから、どのようなケースであっても、単に遺言書を作成するだけでなく、遺言信託を行う事にメリットがある点は変わりません。

ただ、単に遺言書を作成するだけでなく、遺言信託とする事で、追加の費用が掛かります。

とはいえ、遺言をするという事は、多額の財産の処分行為を伴う、極めて重大な行為です。また、遺産相続に伴う諸手続きは煩雑で多岐に渡り、多くの手間が掛かる負担の大きいお手続きです。遺言を安全で確かなものにし、かつ、ご家族の負担を減らすためには、遺言信託をご利用された方が良いでしょう。

弁護士、司法書士による遺言信託のデメリット

弁護士、司法書士は法律の専門家であり、遺言信託は本来的業務です。そのため、弁護士・司法書士によるからこそのデメリットはございません。

強いて言えば、弁護士による遺言信託の場合で、遺産相続発生後に、遺産相続トラブルが生じた際、遺言信託を受けた弁護士は、相続人からそのトラブル処理の依頼を受けることが出来なくなる点が挙げられます。そのため、遺産相続トラブルの発生が濃厚な場合、信頼できる弁護士には、トラブル解決の代理人を依頼する事が出来るように、遺言信託は別の弁護士・司法書士に依頼すると良いでしょう。

銀行による遺言信託のデメリット

銀行におきましては、遺言信託は本来的業務ではありません。そのため、遺言によって本来行う事が出来る事項の一部しか行う事が出来ません。

また、例えば登記手続きのように、銀行では行う事の出来ない事が遺言信託にはあり、このような事は、各種専門家に外注する事となります。

そのため、弁護士・司法書士であれば、遺言信託の手数料に含まれる事が、銀行の場合、別途生じる事となるのです。(登記手続きにおいては、弁護士も司法書士に外注するケースが多いです)

その他、銀行は金融商品を売りたい訳ですから、遺言信託手続きによって財産の全てを把握した上で、金融商品の営業をされる事があります。資産運用は必要な事ですから、金融商品の利用を検討される事がデメリットという訳ではないのですが、顧客利益ではなく、手数料のみを目的とした金融商品を勧められる事がありますから、金融知識に長けていない一般の方にとってはデメリットと言えるでしょう。

遺言信託の手数料などの費用

遺言信託の手数料などの費用

遺言書の作成をご検討されるなら、遺言信託をご利用される事をおすすめ致します。遺言信託の利用は、遺産相続トラブルを防ぐ上で有効であり、また、遺産相続発生後の諸手続きがスムーズになりますから、ご家族の負担も軽減できるためです。

ただ、費用が高いため、注意が必要となります。こちらのページでは、遺言信託の手数料の内訳や、各銀行等の手数料のご紹介を致します。

 遺言信託の手数料の内訳

遺言信託の手数料は、一般的に、以下の3段階から成ります。

  •  遺言書の作成と契約
  • 遺言書の保管
  • 遺言執行(遺産相続発生後の手続き段階)

※ 銀行による遺言信託の場合、遺言執行の段階で、銀行に支払う手数料とは別に、司法書士に支払う登記費用が必要となる事があります。(弁護士による時も、多くの場合は同じ)
※ 遺言信託に、相続税の申告を含めることは出来ません。そのため、どの業種(例え税理士であっても)相続税の申告費用は別途必要となります。

遺言信託の費用比較

遺言信託の費用は、執行費用につき、執行対象財産額、その他の事情によって大きく変動するのが一般的です。特に、執行対象財産については、その額に対してパーセンテージ+αで費用が計算されるため、極めて高額になりがちです。

以下の図表は、遺言信託を取り扱う主な銀行等の費用ですが、執行費用については最低額のみを記載しております。実際の執行費用は、もっと高くなる事が見込まれますので、注意が必要です。

※ 変更されている場合もございますので、正確な情報は、各銀行等のHPをご確認下さい。

みずほ
信託
三菱UFJ信託 三井住友信託 三井住友銀行 りそな銀行
作成費用 324,000 324,000 324,000~540,000 216,000 324,000~864,000
保管費用
(変更時)
6,480
(54,000)
5,400
(54,000)
6,480
(54,000)
6,480
(54,000)
6,480
(54,000)
解約 162,000
執行費用
最低額
1,080,000 1,620,000 1,080,000 1,620,000 1,080,000
司法書士費用 別途司法書士から請求
税理士
費用
別途税理士から請求

 弁護士による遺言信託の手数料

弁護士による遺言信託の手数料は、一般的に、上記銀行等と左程変わりありませんので、上記を目安にお考えください。

司法書士による遺言信託の手数料

司法書士による遺言信託の手数料は、一般的に、弁護士や銀行よりも安く設定されています。ただ、事務所により異なりますので、『上記図表よりは安く済むであろう』という程度にお考えください。

遺言信託の活用法

遺言信託は、遺言を遺される際には、是非利用をお勧めしたい、とても有用なサービスです。以下にて、遺言信託の活用法の事例をご紹介致しますので、ご参考ください。

遺言信託の活用法

 1.自筆証書遺言、秘密証書遺言での遺言信託

自筆証書遺言、秘密証書遺言の場合、その内容についての問題、作成後の紛失、改ざん、破棄、遺産相続発生後の不発見、隠匿、破棄等といった問題があり、多額の財産処分を伴う遺言においては、極めてリスクの高い方法であると言えます。

この点、弁護士・司法書士による遺言信託を利用する事で、上記の問題を解消し、リスクを抑えることが可能です。これにより、自筆証書遺言の利点、秘密証書遺言の利点をそれぞれ活かす事が出来ます。

2.遺産相続手続きの負担を軽減したい場合

遺産相続発生に伴う諸手続きは、煩雑で期間制限のあるものもあり、ご遺族にとって負担の大きいものです。ご遺族が遠方にお住まいであったり、仕事が忙しい場合等、遺産相続のお手続きをする事が困難な場合もあるでしょう。遺言信託を利用する事で、遺産相続発生後の諸手続きを専門家等に任せることが出来ますので、このような場合には利用されると、ご遺族の負担を減らすことが出来るでしょう。

3.遺言内容が確かに実現されるか不安な場合

遺言書は作成すれば安心という訳ではありません。遺言の効力は、遺言者が亡くなる事によって生じますから、遺言内容がきちんと実現されるかは、蓋を開けてみなければ分からないのです。遺産相続トラブルが生じた場合、これを解決出来るのは弁護士のみですから、その費用も相当の額が掛かります。そのため、遺言があるにも関わらず、これに従わない手続きを進めようとする相続人がいる場合でも、争わずに従っていくケースもある事でしょう。
また、遺言書があったとしても、遺言により不利益を被る者が、敢えてこれを告げずに手続きを進めてしまう事も考えられます。有効な遺言がある場合に、これを知らずに成された遺産分割は、無効となる事があります。そのため、後に覆す事も可能ではありますが、この際の手続き代理は弁護士にしか出来ませんから、やはり相当額の費用が掛かってしまします。

遺言信託であれば、依頼を受けた専門家が、その内容実現のために遺産を管理した上で手続きを進めていく事となりますから、上記のような心配はございません。(但し、遺留分を侵害した遺言につき、遺留分を巡る争いを防ぐことは出来ません)