相続における遺書・遺言書の効力

遺言書の効力

遺産相続における効力

遺産相続における、遺書・遺言書の効力

遺言書と遺書は、一般的に同じものとして捉えられている事がしばしばございますが、これらは似て非なるものです。こちらのページでは、遺言書とは何か、遺書とは何かを説明の上、遺産相続における効力についてご説明いたします。

遺言書と遺書の違い

 遺言書とは

遺言書とは、民法において定められた法律行為を指します。民法においては、遺言書の種類、種類ごとの成方法や効力、遺言書がある場合の、遺産相続発生後の手続きについて等、厳格に定められています。

遺言を遺すという事は、法律行為であり、法律効果を目的として行われます。

遺書とは

遺書とは、自身の死後に読んでもらうためのお手紙です。単なるお手紙であり、法的効力は生じません。そのため、法律で何かしらのルールが定められているというものではなく、自由な方法で作成する事が可能です。

遺産相続における効力

上述したとおり、遺言書は、法律で定められており、これを遺す行為は法律行為であり、法的効力を生じます。従って、遺言書がある場合には、遺産相続において法的効力を発揮致します。一方で、遺書は、法的効力のない単なるお手紙であるため、遺産相続においても何らの効力を生じません。

 遺言書と遺書、遺産相続における注意点

上記のとおり、遺言書と遺書は、似て非なるものです。ただ、一般的には同義と捉えられている節があり、実際に、遺書を遺すことが、遺言書を遺す事であると勘違いされている方が少なくありません。事例として考えられるのは、気が強く、何でも自分でやってきた頼りがいのあるご高齢者とそのご家族です。
具体的には、ご家族が、被相続人に対して、遺言書を遺してくれているか確認したところ、きちんと対処しているから安心しなさいと言い、ご家族は遺言書の確認もしていなかったような場合です。
被相続人が、遺言書と遺書の違いを理解しておらず、遺言書として書いたものが法的要件を満たさずに単なる遺書になってしまう事が考えられます。

もう一つ、事例として考えられるのは、遺言書と遺書の両方を用意している場合です。法的効力があるのは、遺言書のみですが、遺言書の作成後に、その内容の抵触する遺書が作成されていた場合には、ご家族としては、対応に困る事となるでしょう。法的には、遺書に従う必要はないものの、故人の意思を尊重しようとすれば、非常に迷う事となります。

 遺言書と遺書、遺産相続における問題点と対応

遺言書と遺書の遺産相続における法的効力については、上述した通りです。問題点は、遺言書と遺書の違いを理解しているかと、遺言書と抵触する内容の遺書を遺す事の2点です。対応としては、両者の違いを理解した上で、遺言書と抵触する内容の遺書は書かない事、そして、これを他者が確認する事です。出来れば、きちんと専門家に確認してもらいましょう。

相続人の身分に関する効力

ご自身が亡くなられた際に、相続財産の何を、誰に、どのように分配するのか。

一般的に、遺言書というと、このように、財産に関する事のためのみに作成するものであるというイメージが強くございます。銀行で宣伝されている遺言信託においては、財産についての遺言書しか作成しないため、これによる影響も少なからずあるのでしょう。

しかし、遺言書で出来る事は、財産の処分に関するものだけではありません。

そこで、本ページでは、遺言によって効力を発生させる事が出来る、相続人の身分に関する事項についてのご紹介をさせて頂きます。

 相続人の身分に関する効力

遺言は、一定の身分に関する事項についてもする事が出来ます。即ち、子の認知と、未成年後見人の指定及び未成年後見監督人の指定です。

 遺言による認知と遺産相続

愛人や内縁関係にあった方との子は、家族の反対等、様々な事情で認知がされていない事も少なくないでしょう。例え実の子であっても、法律上の親子関係がない場合、(例えば、愛人との間に生まれた子等)認知がされなければ、父親の遺産相続人とはなりません。

認知をする際には、事例によって、条件が異なります。

 成年の子の認知

成年の子を認知する場合には、その子の承諾が必要となります。成年である子の承諾の時期は、認知の届出をされるまでに得られれば問題ありません。

 胎児の認知

胎児を認知する必要性がある場合、この認知には、胎児の母親の承諾が必要となります。胎児の母親の承諾の時期は、父親による胎児認知の届出までに得られれば問題ありません。

 既に死亡した子の認知

既に死亡している子を認知するには、その子に、直系卑属(子や孫)がいる事が条件となります。更に、その直系卑属が成年者である場合には、その者の承諾も必要となります。

 遺言で遺言執行者を選任しておく事

遺言による認知は、遺言執行者が、その就職の日から10日以内に認知の届出をするものとされています。遺言執行者が定められていない場合には、利害関係人の請求によって、家庭裁判所が遺言執行者を選任するのを待つこととなるため、スムーズに手続きを進めるためには、遺言書にて、遺言執行者を定めておく事が重用となります。