生前贈与や遺贈を受けた際の注意、特別受益と持戻しについて

生前贈与や遺贈を受けた場合 - 特別受益 その2

特別受益の評価

1. 基準時点

特別受益財産は、相続開始の時点を基準として評価されます。

2. 評価方法

・ 受け取った相続人によって、贈与された遺産の滅失や価額の増減が発生した場合、その遺産が贈与された当時の状態のままである相続開始時の時価で評価されます。

・ 天災またはその他の不可抗力によって贈与される遺産が滅失してしまった場合、受け取る予定であった相続人は、何も貰わなかったものとして処理されます。

・ 天災またはその他の不可抗力によって贈与される遺産の価額が増減した場合、その遺産が贈与された当時の状態のままである相続開始時の時価で評価されます。

・ 金銭については、贈与時の金額を相続開始時の貨幣価値に換算した価格を基に評価されます。

・ 不動産、動産、株式、有価証券、ゴルフ会員権、変動型金銭債権等は、相続開始時の時価で評価されます。

・ 年数の経過によって目減りする建物や婚資としての家財道具等については、贈与時の価格を相続開始時の価額として評価する場合があります。

 特別受益がある場合の相続分算定方法

a. 共同相続人の中に特別受益者がいる場合

1)(相続開始時の相続財産価額)+(贈与価額)=みなし相続財産額

注、遺贈は遺言によって行われるため、相続財産の価額に含まれますのでここで加算する必要はありません。

2)(みなし相続財産)×(法定または指定の相続分率)=本来の相続分

3)(本来の相続分)-(生前贈与または遺贈価額)=具体的相続分

aの例題:

相続財産:2800万円

相続人:妻A、嫡出子B、C、D

生前贈与:Bに200万円

遺贈:Dに400万円

・みなし相続財産額:2800万円(相続財産価額)+200万円(贈与価額、生前)=3000万円

・妻Aの具体的相続分:3000万円×1/2(配偶者分)=1500万円

・子Bの具体的相続分:3000万円×1/2(配偶者分を除いた分)×1/3(3人兄弟)-200万円(贈与価額、生前)=300万円

・子Cの具体的相続分:3000万円×1/2(配偶者分の除いた分)×1/3(3人兄弟)=500万円

・子Dの具体的相続分:3000万円×1/2(配偶者分を除いた分)×1/3(3人兄弟)-400万円(遺贈分)=100万円

b. 超過特別受益者がいる場合(具体的相続分がマイナスになってしまう者)

1)各自の具体的相続分を計算します。

2)超過特別受益者を除き、他の相続人について全相続人の相続分額の割合によって相続分を算定します。

bの例題:

相続財産:2800万円

相続人:妻A、嫡出子B、C、D

生前贈与:Bに800万円

遺贈:Dに500万円

・みなし相続財産:2800万円(相続財産価額)+800万円(贈与価額、生前)=3600万円

・妻Aの具体的相続分:3600万円×1/2(配偶者分)=1800万円

・子Bの具体的相続分:3600万円×1/2(配偶者分を除いた分)×1/3(3人兄弟)-800万円(贈与価額、生前)=-200万円

・子Cの具体的相続分:3600万円×1/2(配偶者分の除いた分)×1/3(3人兄弟)=600万円

・子Dの具体的相続分:3600万円×1/2(配偶者分を除いた分)×1/3(3人兄弟)-500万円(遺贈分)=100万円

上記の具体的相続分から、それぞれの相続分額の割合を使用して相続分を計算します。

・妻Aの相続分:(2800万円(相続財産価額)-500万円(遺贈分))×1800万円(妻Aの具体的相続分)/(1800万円(妻A)+600万円(子C)+100万円(子D))=1656万円

・子Bの相続分:0円(具体的相続分がマイナスのため)

・子Cの相続分:(2800万円(相続財産価額)-500万円(遺贈分))×600万円(子Cの具体的相続分)/(1800万円(妻A)+600万円(子C)+100万円(子D))=552万円

・子Dの相続分:(2800万円(相続財産価額)-500万円(遺贈分))×100万円(子Dの具体的相続分)/(1800万円(妻A)+600万円(子C)+100万円(子D))=92万円

持戻しの免除の意思表示

1. 特別受益の持戻しは、故人の意思を推測して相続人の間での公平を図るためのものとして考えられているため、故人自らの意志による持戻しを免除する場合、遺留分の規定に反しない限り持戻しは行われません。

2. 贈与に関する持戻し免除の意思表示には、特別の方式を必要としません。

3. 遺贈は遺言によって実行されるため、持戻し免除の意思表示は遺言に依らなければなりません。

4. 持戻しが免除されますと、特別受益者は特別受益財産の価額相当分を他の相続人に比べて多く取得することになるため、そのような利益を取得するにあたっての合理的な事情がある場合に限って持戻し免除の黙示の意志表示が認められることになります。

具体的には以下の項目が対象になります:

① 相続人による家業継承

② 寄与相続人への寄与に対する贈与

③ 経済的に恵まれていない相続人に対して将来の扶養の意味も含めた贈与等

5. 各相続人に同程度の贈与が行われている場合には、持戻しが故人の意思に反すると考えられ、相続人の公平のためにも持戻しが行わることはありません。