散骨とは?海洋散骨などの費用や許可、法律、仕方

散骨

散骨とは、遺骨をお墓に納めず海や山にまく葬送法

火葬した後の遺骨をお墓や納骨堂などに納めず、海や山にまく葬送法を「散骨」「散骨葬」と呼びます。高齢化、少子化、核家族化などの社会状況を背景に、葬儀や葬送のスタイルが多様化する中、「死後は自然に還りたい」「野山に眠りたい」「葬儀・葬送はできるだけ簡略に行いたい」「供養・墓地の管理・継承の必要がない方法を選びたい」などの希望を持つ方が増えています。散骨葬はこういった声に応えるもののひとつです。

日本においては比較的、新しいスタイルですが、散骨は海外では広く一般に行われ、物理学者アインシュタインや歌手のエルビス・プレスリー、中国の周恩来元首相、インドのネール元首相、アメリカのライシャワー元駐日大使など、ご本人の希望で遺灰が自然に還されたケースは数えきれません。日本でも石原裕次郎さんが湘南の海に、立川談志さんがハワイの海に散骨された話は有名です。

散骨の種類

日本で散骨への注目が高まるにつれて、実施される散骨葬の種類も増えています。もっとも一般的なのは、船で海の沖合に出て行う「海洋散骨」、次いで山野に遺骨をまく「山林散骨」です。自然の大きな循環の中に回帰したいという願いをそのままかなえてくれるスタイルです。

また海洋散骨では通常、船で沖に出て遺骨をまきますが、ヘリコプターや小型飛行機で空中から海に遺骨をまく散骨葬も実施されており、これは「空中散骨」と呼ばれています。この場合、外洋に出て散骨する前後に、故人のご自宅や故郷、想い出の地の上空を飛行し、お別れのイベントとするケースもみられます。

馴染んだ自宅に眠りたい、家族のそばにいたい、と願う方の場合、自宅の庭や別荘にまく「自宅散骨」が行われることもあります。これはご遺族の意向によるケースも多くみられます。

また最近では遺骨をカプセルなどに詰めてロケットに載せ、宇宙空間に打ち上げる「宇宙葬」も行われ、散骨の一種とされています。ロマンあふれる葬送法で、多くは生前にご本人が計画し、申し込んでいます。ただし現在のところは地球の重力圏を出るわけではなく、遺骨は地球周回軌道に乗せられます。

散骨に関する法律

かつて散骨は、死体等遺棄罪(刑法190条)と墓地・埋葬等に関する法律(墓埋法)に抵触するのではないかという意見がありました。遺骨を遺棄したとされれば死体等遺棄罪に問われ、3年以下の懲役刑が科せられてしまいます。世間では散骨への注目が次第に高まっていましたが、法整備は行われないままでした。

この状況に対して法務省は、1998年に「相当の節度をもって行う場合は、処罰の対象としない」という見解を出しました。これをきっかけに「散骨葬」が大きな広がりを見せるようになりました。

法務省の見解にある「相当の節度をもって行う」という文言は非常に曖昧な表現ですが、現在、散骨する場合は以下のようなルールが一般的になっています。

  • 骨だとわからない形状にすること
  • そのため遺骨はおおよそ2mm以下に細かく粉砕すること

また「遺骨とわからないようにすること」と同時に、「遺骨をまく場所を慎重に選ぶこと」も必要です。

散骨できる場所

海洋散骨の場合

海洋散骨に関しては、法律による規制は行われていません。それも理由のひとつとなり、散骨において海洋散骨がもっとも広く行われています。ただし、海洋散骨にも厳密に守るべきマナーがあります。

  • 海水浴場沖など、人が多く集まる場所の近辺は避ける
  • 海岸付近は避ける
  • 漁場とその近辺は避ける

中には自分の手で、ご家族の遺骨を思い出の海の波打ち際にまきたいと望まれる方がありますが、多くの方に理解されることではありません。基本的には陸地から一定の距離、おおむね5海里以上離れた場所で行うことが望ましいとされています。海岸付近の海域には、ヨットなどマリンスポーツを楽しむ人々もいますし、漁業権が存在する場所が多くありますので散骨には不適切です。

基本的に、業者によって散骨するスポットやコースがある程度決められている場合が多いので、希望の場所があるときは、先にその旨をお伝えになりご相談されるとよいでしょう。

山林や陸地への散骨の場合

一方、山林など陸地への散骨は、法律によって許可された場所に限られます。故人が好きだった思い出の地に眠らせてあげたいと願っても、その場所が墓地もしくは散骨地として許可された場所でなければ散骨はできません。また川への散骨については、河川法や水質保全に係わる法律・条令に従う必要があります。散骨を取り扱う業者とよく相談されることをお勧めします。

散骨の費用

散骨の種類ごとに費用の相場をみていきましょう。

海洋散骨

海洋散骨には「個人散骨」「合同散骨」「代行(委託)散骨」があります。

個人散骨では、小形の船をチャーターし、海に散骨します。ほかのご家族は同乗されませんので気兼ねのないプライベートな葬送が行えますし、実施の日時もご家族の希望に沿いやすい点がメリットです。献花、献酒、同行者のお茶菓子や記録用の写真撮影などを含めた一般的なプランでは、おおよそ18~25万円の料金が多くみられます。

また一家で船をチャーターするのでなく、数家族がひとつの船に乗り合わせる合同散骨になると費用は下がり、8~15万円が相場となっています。ほかにご遺族が同行されない代行散骨は3~8万円ほどです。ただし、遺骨を粉末状に加工するための費用1~3万円が別にかかるケースがあります。費用に何が含まれているか確認し検討されるとよいでしょう。

山林散骨

山林散骨では多くの場合、業者により散骨場が決められています。費用は遺骨の粉砕加工と送迎などシンプルなプランのほか、セレモニーや参加者の食事会などを行うプランもあり、5~30万円ほどの開きがあります。

ほかに自宅散骨、宇宙葬を含め、以下に一例をご紹介します。

  種類 内容 費用(税別)
 

海洋散骨

 

個人散骨

希望の日時に船をチャーターし、ご家族だけで海に散骨、献酒、献花などを行うプラン  

220,000円

  合同散骨 数組のご家族がひとつの船に乗船し、上記と同様のサービスを実施 120,000円
  代行(委託)散骨 ご遺族の同行なしで実施 50,000円
山林散骨 同行・代行 遺骨の粉砕加工、集合場所から散骨場への送迎、セレモニーなし 50,000円
  同行 遺骨の粉砕加工、自宅からの散骨場への送迎、献花、献酒、10名までの参加者の食事、記録用の写真 210,000円
自宅散骨 スタッフ立ち会い 遺骨の粉砕加工、散骨アドバイス 30,000円
宇宙葬 地球周回コース 遺灰をカプセルに詰めロケットで打ち上げ。周回軌道に乗せ3カ月~数年後に大気圏に入り無害に消滅。打ち上げ式のネット配信、周回現在地の追跡サービス等込み 285,000円