家族葬とは?家族葬の費用やお香典の相場など

近年よく耳にするようになった家族葬。家族葬とは何か、また、その費用や、香典の相場についてご案内いたします。

家族葬とは?家族葬の費用やお香典の相場など

家族葬とは、ご遺族を中心に少人数で営むお葬式

家族葬は、本来はご遺族のみで行う葬儀のことをいいましたが、現在ではご親戚やごく親しい方にも会葬していただく、小規模・少人数で営む葬儀のことを指します。人数は数名から30名程度が一般的です。

通常、お葬式には故人と直接のおつき合いがなくても、ご遺族のご友人・知人がたくさん会葬します。大切な方を亡くしたご遺族を支え、心をお慰めする機会にもなるのでとても意義あることなのですが、中には「自分の葬儀には知らない人にきてほしくない」「自分の葬儀のために、たくさんの方にお手間をかけさせては申し訳ない」と考え、生前に家族葬を希望される方もあります。

またご遺族の中にも、心痛の折に多くの会葬者をお迎えすることを負担に感じたり、身内だけでしっかりお別れをしたいと望まれる方があり、そのような場合に家族葬を選ぶケースがみられます。ほかに核家族化の影響などもあり、現在首都圏で行われる葬儀の60%は家族葬だというデータもあります。

近年では、ご自身の葬儀として家族葬を望まれ、生前に葬儀社などに事前相談をされる方が増えています。費用や葬儀の内容を思いどおりに実現できるだけでなく、ご家族の負担を大きく軽減し、またご自身の人生を新たに見つめ直すよい機会にもなるという点が事前相談の増加の理由となっています。

家族葬で起こりやすいトラブル

故人をよく知る方々だけが集まる家族葬は、ご遺族がさまざまなことに気を遣う必要なく、ゆっくりと故人とお別れすることができるという大きなメリットがあります。しかし同時に、生じやすい特有の問題もあります。

お葬式をどのように行うかについては、故人とご遺族の意向がいちばん尊重されるべきです。ただ故人が生前に築いていた人間関係への配慮が必要になるのも事実です。故人と親しかったご友人、知人、お世話になった仕事関係の方々にとっても、故人は大切な人であり、亡くなったとなれば最後にひと目お会いしたい、お別れをしたいと望まれる方も少なくないでしょう。そういった方々への丁寧なお知らせとお礼を怠ると、感情的なしこりを残しかねません。

またご親戚に関しても、お知らせをする範囲は慎重に決めなくてはなりません。後々、「親しく親戚づきあいをしていたのに呼んでもらえなかった」「本家なのに案内がなかった」など不満を持たれる方もいらっしゃるからです。やり直しのきかない葬儀で周囲の方々に角を立ててしまうのは大変残念なことですので、家族葬を行うときには、以下の点に留意するとよいでしょう。

  • ◇会葬者の決定はくれぐれも慎重に行います。
  • ◇会葬者だけでなく、ほかのご親戚、ご友人などに対しても失礼のないようお知らせをし、弔問・供花・香典などを辞退する場合はその旨をお伝えします。
  • ◇家族葬にする理由を「故人のたっての希望」など明確にお伝えし、理解を求めます。
  • ◇葬儀を終えた後に、ご報告や生前のご厚誼へのお礼を丁寧にお伝えします。
  • ◇葬儀を終えた後に、ご自宅に弔問客が訪れることがあるので心得ておきます。

家族葬の費用の相場

家族葬は規模が小さいため、費用を比較的、低額で実施することも可能です。しかし「規模は小さくても、故人が喜ぶユニークな葬儀にしてあげたい」「故人が好きだった花で埋めつくした豪華な祭壇を作ってあげたい」などそれぞれのご希望に合わせ、大きな予算で行うケースもめずらしくありません。

そのため費用の相場には幅がありますが、以下に実際に行われた家族葬からいくつかサンプルをご紹介します。いずれも仏式で通夜と葬儀が行われ、費用にはお布施を除くすべてが含まれています。

規模会場費用
14名公営斎場410,000円
18名ご自宅1,250,000円
18名寺院550,000円
20名民営斎場920,000円
23名民営斎場460,000円
30名ご自宅1,600,000円

費用の違いは人数や会場、とりわけ葬儀の内容によって異なり、低額のものでは30万円台のケース、高額のものでは30人規模の家族葬でも300万円、400万円を超えるケースもみられます。豪華な生花祭壇を作ればそれだけ費用がかかりますし、記録のためのビデオ撮影やアルバム作りを依頼すればその費用も加算されます。

また最近では演奏家を呼び弦楽やピアノの生演奏を行うなど、特別な演出や個性的な内容の葬儀を望まれる方が多く、費用の幅広がっている実態があります。家族葬はご遺族と近親者だけの葬儀ですので、遠慮することなく自由な葬儀を実現される方が増えているためです。

家族葬への弔問、お香典

ここでは家族葬への参列やその際に持参するお香典についてご紹介します。ご遺族や関係者の方から訃報があったとき、「葬儀は家族葬で行います」「家族のみで見送ります」などの説明があった場合、参列は控えるのがマナーです。

「お世話になったから葬儀のお手伝いをしたい」「せめてひと言だけでもお悔やみを申し上げてお香典をお渡ししたい」などと考える方もありますが、ご家族だけで送りたいというご遺族の意向を尊重することがもっとも大切です。

故人と親しくされたりお世話になったりした場合は、葬儀から日を置いてご遺族にご連絡をとり、ご自宅に弔問にうかがいたい旨、ご相談されるのがよいでしょう。この場合もご遺族のご負担にならないよう、状況によっては遠慮します。

家族葬への参列のご案内があった場合や、後にご自宅に弔問にうかがう際にはお香典を持参します。金額の相場は、あなたとの関係によって変わります。

勤務先の上司・同僚・部下が亡くなった場合、あなた自身がまだ20代など若い場合は5,000円、30代を越えた年齢ならば10,000円が相場です。40~50代以上では、立場や故人とのおつき合いの深さによって金額を上げることもあります。また、上司・同僚・部下のご家族が亡くなったケースではそれより少し金額が下がり、3,000~10,000円が相場です。

同様に、友人知人へのお香典は5,000~10,000円、ご近所へのお香典は3,000~10,000円が一般的とされています。