墓石やお墓のメンテナンス

お墓のメンテナンス

墓石のクリーニング

■プロの手でお墓が見違える ――お墓専門家のクリーニングサービス――

「お墓がずいぶん古びてきた」「年に数回のお墓参りでは、墓石のお掃除が行き届かない」、そんな印象を持ちながら、なんとなくそのままにしている方が多いのではないでしょうか。大切な方のお墓が汚れたり古ぼけてしまったりするのは残念なことです。

そのようなとき、最近ではお墓のプロにクリーニングを依頼されるケースが増えています。お墓のクリーニングといえば、忙しくてなかなかお墓参りができない方のための、「お掃除代行サービス」が話題です。しかしお掃除代行サービスには、とくにお墓や墓石の専門家でないスタッフが、アマチュアと同じレベルの清掃をするだけのケースもあり、お墓クリーニングの技術力でみると玉石混交です。

一方、専門家によるお墓のクリーニングでは、墓石が見違えるようにきれいに甦ります。くすんで古ぼけた墓石は、汚れが落とされ、傷が補修され、輝きを与えられ、長持ちするよう特別な手当てを受けます。

■お墓が生まれ変わるクリーニングと、お墓を痛めるクリーニング

ただしあまり良心的でない業者は、「仕上がり状態」をよくすることだけを目指すので、長い目で見るとお墓の劣化を招いてしまうような処置がおこなわれることがあります。クリーニング直後はつやつやと光沢を放ち美しいのですが、少し時間がたつとシミが浮き出てきたり、艶にムラが出てしまったりすることがあるのです。

では、専門家はどのような技術を使ってクリーニングをおこなうのでしょう? そしてお墓を痛めてしまうクリーニングは、何がいけないのでしょう? 詳しくご紹介していきます。

■専門家による墓石の健康診断

専門業者のお墓クリーニングでは、まずお墓の健康状態を詳細に診断するところから始まります。汚れの原因には、水垢、苔、カビ、油、白華(はっか)現象、サビによるシミ、樹液によるシミ、ばい煙などさまざまなものがあります。

ちなみに白華現象とは、「エフロレッセンス」「エフロ」とも呼ばれますが、石の成分が大気中の二酸化炭素などと結合して、表面に白い汚れとなってあらわれる現象です。風雨や気温などが影響して発生し、ときに塩をふいたように真っ白になります。

石専門の職人さんは、こうしたひとつひとつの汚れについて原因を特定し、クリーニングに使用する薬品や工法を決定します。当然この知識が不充分だと、適切な作業が行われません。汚れがきれいにならない場合もありますし、墓石を痛めてしまう可能性もあります。

■石のプロによるお墓掃除の豊富な手段

専門家の掃除技術は手段が豊富で、もっとも効果的かつお墓にやさしい方法がとられます。わたしたちが金属製のヘラでこすり落としたくなるような頑固な汚れを、プロは高圧洗浄機や低刺激の洗剤でそっと落とします。また、わたしたちにはお手上げのサビによるシミを、プロは特殊溶剤で表面に浮き上がらせ、かんたんに取り除きます。

ただしプロであっても不適切な場面で研磨剤や研磨機を乱暴に使ってお墓を傷つけたり、汚れを強引に落とそうと強酸を使用して墓石に変色や艶ボケを起こすことがあります。職人さんの腕の良し悪しは本当に重要です。

汚れをすっかり落とすことができたら、仕上げの作業として、吸水防止のコーティング剤が塗布されます。石は水分を吸って劣化してしまうので、それを防ぐための手当てです。この処理をしておくと、墓石が長い間、若々しい状態に保たれます。

業者を見極めるのはなかなか難しいところですが、依頼をするときにはぜひ、どのような方法でクリーニングするのか調べましょう。また、墓石を傷つけたりシミを作るような方法を使用しないかどうか、問い合わせるのもひとつの方法です。良心的なところはかならず、「見違えるようにきれいにする」だけでなく、「お墓を傷めない」ことに意識を向けています。

■お墓クリーニング 費用の目安

最期に、料金のサンプルを掲載しておきましょう。この価格はあくまでも目安で、お墓の状態によって料金は変動します。依頼をするときには、あらかじめ見積りを出してもらうことをおすすめします。

<A社・和型墓石のクリーニング>

  ~10年 ~20年 ~30年
8寸角(約24cm) 18,000円 23,000円 28,000円
9寸角(約27cm) 23,000円 28,000円 33,000円
1尺角(約30cm) 28,000円 33,000円 38,000円

<B社・和型墓石のクリーニング>

 
8寸角(約24cm) 34,000円
9寸角(約27cm) 38,000円
1尺角(約30cm) 42,000円

<C社・和型墓石のクリーニング>

  平成の建墓 昭和の建墓
8寸角(約24cm) 2段墓20,000円

3段墓23,000円

2段墓25,000円

3段墓29,000円

9寸角(約27cm) 2段墓23,000円

3段墓29,000円

2段墓29,000円

3段墓35,000円

1尺角(約30cm) 2段墓29,000円

3段墓42,000円

2段墓34,500円

3段墓46,000円

墓石のリフォーム

■強く、美しく、汚れず、長持ちするお墓になる―お墓専門家のリフォームサービス

古くなって修理が追いつかなくなった我が家をリフォームするように、お墓をリフォームすることができるのをご存知ですか? 専門業者の本格的なクリーニングでも、特別な修復技術を使ったメンテナンスでも手に負えない――。そういった状況なら、お墓のリフォームが問題を解決してくれるかもしれません。

お墓のリフォームは、いわゆる建て替え、改修工事です。もともとある墓地を使用し、まだ利用できる部分は大切に残しながら、比較的大がかりな手を入れてお墓をきれいに、また強く頑丈にします。

最近では、お墓に破損などの問題が起きていなくても、リフォームをおこなうケースが増えています。「古くからあるお墓のデザインを変えたい」と、好みに合うようリフォームをするケースもあります。「地震に強い、洋型墓石にしたい」「遺骨を納めるカロートの収納機能を高めたい」「地面を玉砂利にして雑草で荒らされないお墓にしたい」など、機能上の目的でリフォームを依頼するケースも一般的です。

■お墓のリフォーム工事 よくあるケース

実際にどのようなリフォームがおこなわれるのか、いくつかサンプルをご紹介しましょう。

【ケース1】「劣化が進んだ外柵を、新しい石で作り直したい」

外柵のリフォームは、もっとも多くおこなわれるもののひとつです。というのも、昔は一般的に、外柵を軽石凝灰岩の一種である大谷石など、加工しやすい石材を使用していました。ところが加工しやすい石は、風化や吸水によって浸食されやすいため、建立から年数がたつと割れたり、かけたりしてしまうのです。こうした外柵を、耐久性の高い御影石などの素材で作り直します。

【ケース2】「墓所内を土でなく、コンクリートを敷いた玉砂利にしたい」

墓所内に灌木や植木を多く植えていると、枝はあちこちに伸び、葉は落ち、根は這い出し、頻繁に掃除をしなければ、墓石が枝葉にすっかり覆われてしまうこともあります。また、さらに問題なのは、大切なカロート(納骨室)を傷めてしまうことがある点です。このような場合、墓所内部の地面をコンクリート敷きの玉砂利にすることがすすめられます。もちろん土の部分を一部残し、あらたに小ぶりの植栽を植えることもできます。

 

【ケース3】「地震で大きな被害を受けないよう、耐震もしくは免震施工してほしい」

大きな地震が起きると、お墓も無事ではいられません。墓石が倒れ、割れてしまうこともあります。それを防ぐため、墓石に耐震もしくは免震処理をすることができます。もっともポピュラーな方法は、墓石を積み重ねる部分に免震接着剤を使用する方法です。ほかに、墓石の重心が低く安定し、揺れにも強い洋型墓石への変更を希望される方もいます。

お墓のリフォームに関する費用はケースバイケースですので、通常は相談時に見積りを立ててもらいます。現地に出向き、お墓の状況を見なければ見積りが出せない場合もありますが、おおよその目安は問い合わせの際に教えてもらうことができます。

■お墓のリフォームでは「魂抜き」が必要なことも

墓石本体をリフォームする場合は、工事前に住職による「魂抜き(閉眼法要)」がとりおこなわれます。これは、すでにあるお墓を動かしたり、戒名を追加で彫刻したりする場合におこなうものです。お墓にいる仏様やご先祖様にもともとの場所へ戻っていただくことで、お墓を「ただの物」にし、作業を始めます。神徒の場合は神主がおこないます。

さらにリフォーム工事が終了し、引き渡しがされた後には、開眼法要をおこないます。仏様やご先祖様にお越しいただくことで、石碑はお墓になります。

お墓は各家庭の心の中心ともなる、大切な場所です。子や孫へと代々引き継がれる墓所を、長年にわたりしっかり維持管理することは、供養にもつながります。毎日ご自身が暮らす家と同様に、お墓にも心を向けたいものです。

お墓の修理

■お墓の破損がもと通りになる ――お墓専門家のメンテナンスサービス――

お墓は風雨にさらされ、夏の陽射しや冬の降雪に耐え、何世代にもわたって大切な遺骨を守り続けてくれます。その長い年月の間には、お墓が破損することもあります。建立から10年、20年もたてば、何かしらのトラブルが生じてくるでしょう。

しかしお墓の建て替えともなると、現在の墓石の撤去と新しいお墓の設置が必要になりますから、200~300万円の費用がかかります。かんたんに出せる金額ではありません。

そのようなとき、メンテナンスを検討されるとよいでしょう。現在の技術では、さまざまなタイプの破損について、修理・修復が可能になっています。

◇不注意で墓石に傷をつけてしまった

◇経年劣化で、外柵の目地が切れている

◇台風で墓石がずれてしまった

◇金具の部分が割れてしまった

◇気がついたら敷石が沈下している

◇石碑の文字ペイントが剥げている

◇地震で倒れないよう耐震補強をしてほしい

お墓には、多種多様な問題が起こります。しかし墓石はいったん欠けてしまったら再生することはありません。また天然素材のため、アマチュアが補修素材を使ってきれいに補修することもできません。でも墓石の専門家の手にかかれば、少々の傷は問題なくきれいになります。お墓にトラブルが生じたら、あきらめる前にメンテナンスで修復する可能性を探りましょう。

■お墓の修理メニュー

石材店は、基本的にどこもお墓のメンテナンスをおこなっています。どのような修理を手がけているのか、一部をご紹介しましょう。

破損状況 修理の手段
石碑の小さな欠け 研磨加工
石碑のぐらつき・倒れ 石碑の組み直し
石碑や外柵の目地切れ シリコンなどによる目地の補修
文字ペイントの剥離 再ペイント作業
花立てや香炉の破損 交換
敷石の沈下・剥離 敷石の再施工
塔婆立の破損 はしごを交換・全体を新規に交換
石材の変色 原因にあわせたシミ抜き
玉砂利の沈下 玉砂利の追加・交換
墓誌台の目地切れ 目地の補修・免震接着剤の充填
地震対策 耐震・免震施工(解体・免震接着剤・再組立て)
汚損の防止 セラミックコーティングなど

お墓の修理の方法は、破損の細かい状況によって変わります。たとえば和型墓石の棹石(さおいし)がずれてしまったとき、単純なずれであればクレーンなどで位置をもとに戻すだけで解決します。費用も数万円程度ですむでしょう。ところが基礎が不安定なために起きたずれだった場合、基礎を作り直す必要があります。費用も一気に10~30万円とふくれあがります。

お墓にどのような問題が起きたのかはわたしたちでもわかりますが、その原因とメンテナンスの方法は、専門家でなければわかりません。費用のことも含め、霊園・墓地を通じて専門業者に相談されるとよいでしょう。

■お墓のメンテナンスの費用

お墓を建て替えることなくきれいに修復できるのは魅力的ですが、気になるのは費用です。業者によって料金設定が異なりますし、お墓の状況によっても大きく変わりますので相場の金額をお伝えするのは困難です。サンプルとして、二つの業者の料金を挙げておきましょう。

破損状況 A社 B社
石碑のぐらつき・倒れ 100,000~300,000円 56,000円
石碑や外柵の目地切れ 30,000~50,000円 8,000円~
文字ペイントの剥離 10,000~30,000円 11,000円
花立てや香炉の破損 数千円~20,000円 13,500~17,000円