遺産相続トラブルを避ける

遺産相続トラブルを避ける

遺産相続問題が起きないように

遺産相続問題を起こさないために知っておくべき事

遺産相続問題。即ち遺産相続トラブルは、一部の資産家のものではありません。誰にでも起き得るものです。多くの人が口にするのが、『うちは大した財産がないから』、『うちの家族に限っては大丈夫』といった事です。

遺産相続トラブルのほとんどは、一般家庭で起きている

しかしながら、遺産相続トラブルに発展する家庭の約75%が、財産額5,000万以下の家庭で発生しています。この事は、資産額で分類した場合の、人の属性に関わるものというよりも、遺産相続問題の対策をしていたか否かに左右されているものと考えられます。財産額が大きい家庭程、相続税に対する意識も強くなり、税理士に自ら相談されている場合や、資産を把握している銀行等から様々な提案がなされる事が多く、遺産相続問題の対策の必要性を知り、行動されているケースが多いためです。

遺産相続のトラブルは増加している

遺産相続トラブルの数は、平成17年度から平成27年度までの間で、約30%以上増加しています。これは、従前の相続制度から、個人の権利と平等をより重視した現行制度へと変わってから相当期間が経過した事、また、インターネットによる情報が容易に取得できるようになった事等の影響もあり、今では、遺産相続における自己の権利の意識が強くなっている事が理由の一つとして考えれます。

つまり、ここまでで知って頂きたい事は、遺産相続の問題は、誰にでも起こるものであり、根拠のない安易な考えをするべきではないという事です。

現在のご高齢世代の方の遺産相続に対するお考えは、少々楽観的な事が多く、よりシビアにお考え頂く必要があるのです。

遺産相続問題で辛い目を見るのは家族である

遺産相続の問題でトラブルに発展し、辛い目を見るのはご家族です。遺産相続トラブルは、一度起きれば、法定相続人同士はもちろんの事、その次の世代、つまり、お孫さん世代にまで遺恨は残ってしまいます。

解決には多額の費用が掛かる上に。。

遺産相続問題でトラブルに発展した場合、これを解決出来る専門家は弁護士のみです。他に相談に乗る事の出来る専門家はいないため、その費用はとても高額です。言い換えれば、お金を掛ければ、一応の解決を図る事は出来るという事なのです。ただ、解決出来るのは、あくまで財産関係の事であり、ご家族間の感情的対立のケアが出来るわけではありません。

つまり、遺産相続のトラブルは、一度生じれば取り返しがつかないという事です。

遺産相続問題を起こさないためにするべきこと

遺産相続の問題で大切なのは、いかに事前の対策をしておくかであり、これに尽きます。遺言信託をする、家族信託をする、生命保険を利用する、生前贈与をする等々。生前であれば、出来る事は数多くございます。

ただ、一つご注意頂きたい点がございます。それは、独自の対策はしない事です。インターネット等で多くの情報を得る事は出来ますが、掻い摘んだ情報による対策は、思わぬ落とし穴にはまります。遺産相続対策は、決して低くはない額の財産を処分する事であり、直接の影響を受けるのはご自身ではなくご家族ですから、専門家に相談した上で、しっかりとした遺産相続対策をするようにして下さい。

遺産相続のトラブルや問題への対応

遺産相続問題をトラブルに発展させてないための対応

遺産相続問題は、生前にしっかりと対応しておくことで、未然に防ぐことがいさ可能です。こちらでは、問題となる事項を挙げたうえで、その対応方法をご案内致します。

遺産分割協議の問題

遺産相続の問題で、最もトラブルに発展する原因となるのが、遺産分割協議です。民法では、法定相続分が定められていますが、これには、寄与分・特別受益という修正規定が同時に設けられています。この、寄与分・特別受益は、これに該当するか否か、その金額はどの程度かといった問題を、話し合いで決めなければなりません。また、遺産分割協議で合意さえ整えば、全財産を一人の相続人が取得することも可能であるため、誰が・どの財産を・どれだけ取得するかについて、利害の対立する者同士である相続人の話し合いは、トラブルに発展しやすいのです。

遺産分割協議の問題への対応

対応と致しましては、生前に、遺言書を残しておくことです。遺言書の中で、誰にどの財産を分配するのか定めておくことで、遺産分割協議を必要のないものとする事が可能になります。遺産分割協議自体を省くことが出来るため、この問題に対応が出来ます。但し、遺言書の内容によっては、遺産分割協議が必要となってしまうため、注意が必要です。

財産の内訳及び額の問題

専門家を利用せずに、遺産相続手続きをされる場合、喪主等、相続人の代表者が中心となり、お手続きを進めていくことが多いでしょう。しかし、相続人間に信頼関係がない場合に問題が生じます。それは、相続財産の全てを開示しているかという問題です。例えば、預貯金であれば、事実上、口座凍結前に引き落とすことも可能ですから、相続財産として開示せずに自身のものとすることも容易です。実際に、財産を隠しているのではないかと思い込んだ相続人が、近所に中傷する内容のビラを撒いて大事になったようなケースもございます。そこまでいかずとも、疑心暗鬼となる方は少なくありません。また、そもそも、相続人の代表者が、何が相続財産で、何がそうではないのかといった事をご理解されておらず、後に問題となるケースもございます。

問題への対応

対応といたしましては、専門家に、遺産承継の手続きを任せることです。生前から対処する場合は、遺言信託のサービスを利用して、遺産相続発生後の遺産分配手続きも、まとめて任せることが可能です。

遺産相続は、多額の財産が動くものです。費用は掛かかっても、確かな手段を取る事が重要です。

遺産相続手続きの期限切れをなくす

遺産相続手続きには、期限のあるものがございます。こちらのページでは、期限のある遺産相続手続きと、期限切れをなくすための対策をご紹介致します。

相続放棄と限定承認

相続財産は、プラスの財産のみならず、マイナスの財産も含まれます。つまり、遺産相続する場合、故人の抱えていた借金等についても、承継する事となります。借金等のマイナスの財産の方が多い場合等には、遺産相続の放棄又は遺産相続の限定承認により、相続人個人の財産で、故人の借金等を返済する義務を免れる事が可能です。

相続放棄と限定承認の期限は3か月

相続放棄又は限定承認の手続きは、自己のために遺産相続の発生した時から3か月以内にしなければならないとされています。遺産相続の発生時点で、多額の借金等が明らかであれば、3か月の期限は決して短くはないのですが、財産の内訳が不明で、財産の調査が必要であるような場合には、この期間は短いと言えます。

準確定申告

その年の、故人の亡くなられた日までの所得税の申告を行う事を準確定申告と呼びます。準確定申告は、故人の収支の内訳等により、その必要性の有無が変わるため、必ずしも必要になるわけではありません。

準確定申告の期限は4か月

準確定申告の期限は、遺産相続の開始のあった事を知った日の翌日から起算して4か月以内です。

相続税の申告と納付

相続税の申告と納付は、必ずしも必要になるものではありません。相続税の課税価格が、相続税の基礎控除額の範囲内である場合には、相続税の支払いも申告も不要です。ただ、基礎控除額の範囲内に収まるような場合であっても、小規模宅地の特例等の利用する事で、基礎控除内となるような場合は、その旨の申告は必要となります。

相続税申告と納付の期限

相続税申告と納付の期限は、相続の開始を知った日の翌日から起算して10か月以内です。一見、十分な期間があるように思えますが、原則として、この期間までに、財産の調査・相続人の調査をした上で遺産分割協議をまとめる必要があるため、遺産分割協議がスムーズにいかない場合には、あっという間に期限が来てしまいます。

遺留分減殺請求

遺留分の減殺請求とは、遺留分を侵害された相続人が、遺留分を侵害した者に対して、遺産の分配を請求する事を言います。

遺留分減殺請求の期限

遺留分の減殺請求は、相続の開始した事を知り、かつ、自己の遺留分を侵害する事実のあった事を知った日から1年以内、又は、故人の亡くなられた日から10年以内にしなければなりません。短い期限が設けられているため注意が必要です。

遺産相続手続きの期限切れをなくす

遺産相続手続きにおける各種期限は、手続きがスムーズに進めば、何ら問題のないだけの期間と言えますが、そうでない場合には、あっという間に期限が来てしまいます。そのため、遺産相続手続きにおける期限切れをなくすために必要な事は、いかに手続きをスムーズに進められるかにかかっています。

手続きをスムーズに進めるためのポイントとしては以下の事がございます。

  • 生前に、財産目録を作成しておく事
  • 生前に、戸籍等を取得の上、相続関係図を作成しておく事
  • 遺言書で、遺産の分配について個別具体的に定めておく事
  • 遺言執行者を定めておく事

以上の事がポイントしてあげられます。如何に、生前に準備を整えておくかが重要という事です。

借金の遺産相続を拒否する

遺産相続では、預貯金や不動産、株式や投資信託等の金融資産等、プラスの財産のみならず、借金のようなマイナスの財産も承継する事となります。そのため、相続財産を借金が多く占めるような場合に、これを拒否する事が出来ないのかが問題となります。

遺産相続は放棄する事が出来る

故人の遺した財産は、必ずしも承継しなければならないわけではありません。プラスの財産よりも、借金が多額であるような場合や、遺産相続に一切の関与をしたくないような場合等には、遺産相続を放棄する事が可能です。

遺産相続の放棄をするとどうなるか

遺産相続の放棄をすると、遺産相続の発生当初から、相続人ではなかったこととなります。相続人ではない以上、遺産を承継する事もありませんから、借金を負担する事にもなりません。一方で、一切のプラスの財産も承継する事は出来なくなりますから、生家や形見の品等の一切も、相続する事は出来ません。

借金のみ、遺産相続を放棄する事は出来るか

相続放棄をするか、単純に遺産相続するかの場合には、0か1かです。そのため、プラスの財産を承継する反面、無限に借金の返済義務を負うか、借金の返済義務を一切負わない反面、プラスの財産の一切を承継しないかという事になります。

結論として、借金のみの遺産相続放棄は出来ません。ただ、これと類似の効果をもたらす遺産相続の方法がございます。限定承認と言う方法です。

限定承認とは

限定承認とは、故人の遺した借金等の返済義務を、相続財産のプラスの部分のみで負う制度です。つまり、相続人個人の財産による返済義務は負うことなく、遺産相続する事が出来るというものです。厳密には、借金を負う事になるのですが、個人の財産による返済の義務は負わないという制度です。

限定承認手続きの方法

限定承認の手続きは、相続放棄の手続き同様、家庭裁判所に対して行います。ただ、相続放棄と異なり、相続人一人で行う事は出来ません。遺産相続の限定承認は、法定相続人全員で行う必要があります。そのため、1人でも、限定承認ではなく、単純に遺産相続をしたいという相続人がいたり、遺産相続発生後に預貯金を引き出して使用してしまったりする事で単純に遺産相続したものとみなされてしまうような場合には、この手続きは出来なくなりますので注意が必要です。